[童話]鹿になった観音さま
鹿になった観音さま 8
気がつくと、タケルとチハヤのなき声が聞こえ
ません。
「タケル」
「チハヤ」
三郎は、大きな声で二匹の名をよびました。
でも、犬たちはどこにもいません。
タケルたちは、どこへ行ってしまったのでしょ
うか。
大きな杉の木の下を通った時、根元でぴかっと
光っているものがありました。
「何だろう」
近づいてみると、小さな観音さまでした。
身の丈は、二寸(六センチ)くらい。
黄金のように、ぴかっぴかっと光っています。
つづく