じいじとせみ

[童話]じいじとせみ 5


「ぼうやにせみをとってあげなくては…」
じいじは、思いついたように、急に立ちあがり
ました。
「もう少し休んでいけばいいのに」
ばあばはとめましたが、じいじは急いで家に帰
って行きました。
しかし、それがじいじの元気な最後の姿だった
のです。


二時間後。
近所の人の電話で、ばあばはじいじの入院して
いる病院へいそぎました。
家に帰ったじいじは、庭の木や花に水をかけま
した。
ところが急に心臓のぐあいが悪くなり、たおれ
てしまったのです。


          つづく