2014-03-01から1ヶ月間の記事一覧

母の短歌集

停電の時間だけ遅れしタイムスイッチ 進めて今日の厨仕事は終はりぬ

母の短歌集

茶臼山の広き裾野は若葉の時 友と来りて山蕗をひく

母の短歌集

良きも悪しきも少しは頷ける「姓名判断」 興味をもちて今宵読みゐる

雪割草

母の短歌集

無人化となりたる駅に牛乳瓶の 水仙の花に心和み待つ

母の短歌集

赤彦の「家ひくくして道広し」の額 かかげたる店に木曽土産買ふ

雪割草

母の短歌集

箱根バラの毛で覆はれし青き実を 珍しく見て石畳登る

母の短歌集

軒下にふせをく葱の風に鳴る 枯葉の中に緑萌え来し

雪割草

母の短歌集

お日待ちの朝より炊きし一俵の飯 千個のむすびに握り終へたり

母の短歌集

落ち柿のすゆる臭ひも親しくて 秋づく日射しにほうれんそうを撒く

雪割草

母の短歌集

一瞬の心の乱れに歪みたる ミシンの縫目手間取りてとく

雪割草

母の短歌集

一輪のカタクリの花床に飾り茶を点てる 娘の背に落ちつきの見ゆ

雪割草

母の短歌集

日曜日の朝教会に集ひくる 人びとの顔穏やかに見ゆ

雪割草

母の短歌集

新たなる希望湧きくる今日にして ポインセチアの一鉢買ひ来ぬ

雪割草

母の短歌集

三キロの梅にて作りし梅肉エキス 飯茶碗一杯のみなるに驚く

雪割草

母の短歌集

脱サラをして君が拓きし羊牧場 ひろびろとして若葉明るき

雪割草

母の短歌集

見渡す限りキャベツ畑つづく野辺山高原に 収穫する人点々と見ゆ

雪割草

母の短歌集

春日光あはあはと射すわさび畑 畝間の水の澄みて流るる

雪割草

母の短歌集

昭和七年吾ら入学の名簿の中に 二十三名もの逝きし人あり