2017-08-01から1ヶ月間の記事一覧

竹取物語

大伴御行大納言と龍の頸の玉 13 大納言は、重い風邪にかかった人 のように、腹がぽっこりと膨らみ、 両目はすももをつけたようになっ ていました。 その様子をみた国司は、にやにや しています。 大納言は、国府に命令して手輿を 作らせ、うめきながら家に…

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大伴御行大納言と龍の頸の玉 12 大納言は、南海の浜に吹き寄せら れたのだろうと思い、しょんぼり しています。 一緒に船に乗っていた家来が、国 府に告げると、国司の播磨の守が、 見舞いにきました。 大納言は起き上がることもできず、 船底に寝ています…

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大伴御行大納言と龍の頸の玉 11 大納言は、立ったり座ったりして、 千回位神様に祈りました。 祈りがきいたのか、やっと雷が鳴 りやみました。 でも、まだ強い風が吹いています。 「やはり、龍のしわざだったのだ。 今吹いている風は、よい方向に向 かって…

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大伴御行大納言と龍の頸の玉 10 「わしは、神様ではないので、何 もできません。強い風が吹き、波 が荒く、その上雷まで・・・。これ は、ただごとではありません。あ なたが、龍を探し殺そうと思って いるから、こんなことになってい るのです。龍が怒っ…

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大伴御行大納言と龍の頸の玉 9 神様の助けがあれば、南の海に 漂着できると思うが。あなたを船 に乗せたばかりに、こんなことに なってしまうなんて・・・」 船頭は、泣きだしました。 「船に乗ったら、船頭だけを信頼 するものだ。それなのに・・・なぜ 頼…

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大伴御行大納言と龍の頸の玉 8 ところが・・・。 どうしたことか、疾風が吹き出し、 あたり一面、真っ暗に。 どこにいるのかもわからず、何度 も船が沈みそうになりました。 その上、雷もごろごろとなりだし、 ぴかっと稲光も。 「今まで、こんな苦しい目に…

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大伴御行大納言と龍の頸の玉 7 その話を聞いた大納言は、 「臆病な船長たちだ。わしの実力 を知らないから、そんなことをい うのだ」と、腹をたてました。 「わしの弓の実力なら、龍がいた ら、さっと殺して、頸の玉をとる。 もう家来たちが持ってくる玉な…

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大伴御行大納言と龍の頸の玉 6 しびれをきらした大納言は、家来 を二人連れ、難波の港まで様子を みに出かけました。 そして、二人に命じました。 「大伴大納言さまの家来が、ここ から出航し、龍を殺して、龍の頸 の玉を手に入れたといううわさを 聞いたこ…

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大伴御行大納言と龍の頸の玉 5 一方、大納言は、「かぐや姫を迎 えるには、この家ではみすぼらし い」といって、立派な家を建てま した。 壁は、漆を塗り、その上に蒔絵を。 屋根は、糸をいろいろな色に染め てふきました。 襖は、豪華な綾織物に絵を。 大…

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大伴御行大納言と龍の頸の玉 4 「じゃあ、足の向いた方へ行って、 玉を探してこよう」 「大納言さまは、物好きな人じゃ のぅ。龍の頸についている玉など、 とれるはずもないのに。何を考え ているのか」 「無理なことを、平気で命令する なんて、我慢ができ…

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大伴御行大納言と龍の頸の玉 3 大納言は、龍の頸の玉をとるため に、家来たちを派遣することにしま した。 家来たちには、道中の食料の他に、 屋敷にあった絹や綿や金などを持 たせました。 「おまえたちが、龍の頸の玉を持 ってくるまで、わしは精進潔斎し…

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大伴御行大納言と龍の頸の玉 2 それを聞いた大納言は、かんかん に怒りました。 「わしに仕えている者は、命を捨 てても、命令に従うべきだ。龍は、 外国ではなく、わが国の海や山に 住んでいるというではないか。そ れなのに、おまえたちは、わしが 命令し…

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大伴御行大納言と龍の頸の玉 1 大伴御行大納言は、すべての家来 を集め、命令しました。 「龍の頸には、五色の光を発する 玉がついているそうだ。龍の頸に ついている玉をとってこい。玉を とってきた者には、ほうびをあげ よう」と。 すると、家来たちが口…

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阿倍の右大臣と火鼠の皮衣 10 「ああ、よかった。これで、安倍 さまと結婚しなくてもいい」 かぐや姫が、笑いながらいいま した。 そして、安倍が詠んだ歌に返歌 をし、箱に入れて返しました。 名残なく燃ゆと知りせば皮衣 思ひのほかにおきて見ましを 安…

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阿倍の右大臣と火鼠の皮衣 9 おじいさんは、安倍に「娘がこの ようにいっております」と伝えま した。 すると、安倍が、 「この皮衣は、唐にもなかった物 を、やっとの思いで手に入れた物。 かぐや姫は、何を疑っているので しょう」と、いいました。 その…

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阿倍の右大臣と火鼠の皮衣 8 二人は、かぐや姫が結婚もしない で一人でいるのをみて、心配して います。 立派な人と結婚させようと思うの に、「結婚するのはいや」という ので、二人とも姫に結婚を強いる ことができなかったのです。 「この皮衣を火にくべ…

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阿倍の右大臣と火鼠の皮衣 7 「姫。ともかく、あのかたを、家の 中へ入れてあげましょう。この世 では見ることができない皮衣だと いっています。姫、本物だと思い なさい。あのかたを、これ以上困 らせてはいけませんよ」 おじいさんは、安倍を座敷の中へ …

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阿倍の右大臣と火鼠の皮衣 6 安倍は、化粧を丁寧にして、出か ける支度をしました。 かぐや姫の婿として、屋敷に泊ま ることになるだろうと思い、木の枝 に歌をつけて持って行きました。 かぎりなき思ひに焼けぬ皮衣 袂かわきて今日こそは着め 安倍は、火鼠…

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阿倍の右大臣と火鼠の皮衣 5 「あと五十両払えば、貴重な皮衣 を手に入れることができる。それ にしても、よく皮衣をみつけてく れたな」といい、安倍は唐の方に 向かって手を合わせました。 皮衣が入っている箱を見ると、い ろいろの瑠璃をとりまぜ、彩色…

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阿倍の右大臣と火鼠の皮衣 4 今も昔も、火鼠の皮衣は、容易に 手にいれることができない貴重な 物です。あきらめていたら、天竺 の聖者が、この国へ持ってきたと いう皮衣が、西の山寺にあるとい う噂を聞きました。早速、朝廷に お願いし、朝廷の力ぞえで…

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阿倍の右大臣と火鼠の皮衣 3 何年かすぎました。 待ちに待った唐船がやってきました。 家来の小野が筑紫へ帰国し、都へ 帰ってくると聞き、安倍は小野の帰 りを待ちました。 小野は、安倍がさしむけた足の速い 馬に乗って、筑紫から七日で都へ帰 ってきまし…

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阿倍の右大臣と火鼠の皮衣 2 小野は、安倍の手紙を、唐船の王 けいに渡しました。 王けいは、手紙の返事を書きました。 「火鼠の皮衣は、唐にはありません。 噂には聞いたことがありますが、見 たことはありません。手紙に書いて あるように、この世にある…

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安倍の右大臣と火鼠の皮衣 1 右大臣の安倍御主人(あべみうし) の家は、裕福な家でした。 一族も栄えています。 安倍は、「火鼠の皮衣」を手に入 れるため、日本にやってきた唐船 の王けいに、手紙を書きました。 「唐にあるという火鼠の皮衣を送 っていた…

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くらもちの皇子と蓬莱の玉の枝 19 そして、金工たちがかぐや姫から もらった褒美を全部とりあげ、自 分の物にしてしまいました。 工匠たちは、無一文になり逃げ帰 りました。 その後。 くらもちの皇子は、「これ以上の 恥はない。かぐや姫と結婚できな か…

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くらもちの皇子と蓬莱の玉の枝 18 皇子は、立ったり座ったりして落 ち着きません。 日が暮れてから、皇子はこっそり 家へ帰っていきました。 かぐや姫は、訴えた金工たちをよ んで、たくさんの褒美を与えました。 金工たちは、「期待したとおりだっ た」と…

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くらもちの皇子と蓬莱の玉の枝 17 おじいさんをよんでいいました。 「あの玉の枝をみた時、本物かし らと思い、何度も玉の枝をみまし た。意外な偽りごとだったのです ね。偽りの品なので、早くくらもち の皇子に返してください」 かぐや姫の心はすっかり…

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くらもちの皇子と蓬莱の玉の枝 16 いろいろ考えてみると、側室のか ぐや姫さまが、玉の枝を希望して いるのではないかと、気がつきま した。ですから、くらもちの皇子 のかわりに、かぐや姫さまから玉 の枝の代金をいただきたいと思い ます」 金工たちは、…

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くらもちの皇子と蓬莱の玉の枝 15 くらもちの皇子は、まさか金工た ちがかぐや姫の家にまで押しかけ てくると思っていなかったので、 びっくりしあわてています。 このさわぎをかぐや姫が聞き、金 工が差し出した文を読むと、こん なことが書いてありまし…

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くらもちの皇子と蓬莱の玉の枝 14 二人が話をしていると、金工が六 人、庭へやってきました。 そして、一人が、文ばさみに文を はさんで訴えました。 「内匠寮(たくみづかさ)の金工、 綾部の内麻呂が申し上げます。玉 の木の枝を作るために、五穀を断 ち…

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くらもちの皇子と蓬莱の玉の枝 13 おじいさんは、皇子の話を聞き、 大変な思いをして、玉の枝をとっ てきたのだなと思いました。 皇子の話を聞き、おじいさんが詠 んだ歌。 くれたけのよよのたけとり野山にもさやはわびしきふしをのみ見し 皇子は、おじい…