2017-09-01から1ヶ月間の記事一覧

竹取物語

帝のお召しに応じないかぐや姫 15 帝は、かぐや姫への手紙に、季節 の木や花をつけて、歌を届けるの を楽しみにしています。 帝とかぐや姫が、手紙のやりとり をしているうちに、三年がすぎま した。 かぐや姫は、ある年の春頃から、 月を見て、物思いにふ…

竹取物語

帝のお召しに応じないかぐや姫 14 帝は、御殿に帰り、そばに仕えて いる女性をみたが、かぐや姫のよ うに美しく、素晴らしい歌を詠む 人はいません。 今までは、他の人よりは素晴らし いと思っていた女性さえ、かぐや 姫と比べるとみおとりがしました。 帝…

竹取物語

帝のお召しに応じないかぐや姫 13 帝は、輿に乗ってから、かぐや姫 に歌を詠みました。 帰るさのみゆき物憂くおもほえて そむきてとまるかぐや姫ゆえ かぐや姫が、帝に歌を返します。 むぐらはふ下にも年は経ぬる身の なにかは玉のうてなをも見む 帝は、か…

竹取物語

帝のお召しに応じないかぐや姫 12 帝のことばを聞き、かぐや姫は姿 をあらわしました。 帝は、かぐや姫を連れて帰ること は無理だと思い、あきらめました。 でも、かぐや姫に対する気持をお さえることはできませんでした。 かぐや姫をみることができた帝…

竹取物語

帝のお召しに応じないかぐや姫 11 「そんなはずはない。私は、どん な手を使っても、連れていくつも りだ」 輿を邸につけている間に、かぐや 姫はすっと姿を消してしまいました。 「かぐや姫が、あっという間に、消 えてしまった。残念だ。姫がいうよ うに…

竹取物語

帝のお召しに応じないかぐや姫 10 帝が、家の中へ入ってみると、美 しい姫が座っています。 今までみたことのない美しさでした。 帝は、奥へ逃げて行こうとするか ぐや姫の袖をつかまえ、そばに座 らせました。 かぐや姫は、顔を袖で隠しています。 「許し…

竹取物語

帝のお召しに応じないかぐや姫 9 すると、帝が、 「翁の家は、山のふもとにあるそ うじゃな。狩りをするふりをして、 翁の家に寄り、かぐや姫をみるこ とはできるだろうか」 「それはいい考えかもしれません。 娘がぼんやり何か考えている時に、 急においで…

竹取物語

帝のお召しに応じないかぐや姫 8 「世間体のことなど、どうでもいい。 帝に、宮仕えができないと伝えて くる」 おじいさんは参内して、帝に姫の 気持を伝えました。 「娘を入内させようと何度も説得 しましたが、だめでした。もし、宮 仕えをさせるならば、…

竹取物語

帝のお召しに応じないかぐや姫 7 「姫、何をいうのだ。姫が死んで しまうなんて・・・。じいは、爵位な どいらない。でも、姫は、なぜ宮 仕えをしないのか。死ななくては ならない訳でもあるのかね」 「じい、私のいうことが、嘘だと思 うなら、私を宮仕え…

竹取物語

帝のお召しに応じないかぐや姫 6 「翁が育てたのに、なぜ思うように ならないのじゃ。かぐや姫を献上す れば、翁に五位の位をあげよう」 おじいさんは、帝の言葉を聞き、喜 んで家に帰りました。 「帝が、かぐや姫が宮仕えをしてく れたら、じいに五位の位…

竹取物語

帝のお召しに応じないかぐや姫 5 その時は、かぐや姫のことをあき らめた帝でしたが、帝はかぐや姫 のことを忘れることができません でした。 帝は、竹取りのおじいさんを呼び だし、命令しました。 「娘のかぐや姫を献上せよ。とて も美しい姫だと聞き使い…

竹取物語

帝のお召しに応じないかぐや姫 4 そのことばを聞いたかぐや姫は、 「私が、帝の命令にそむいたと いうのなら、私を殺していただ いてけっこうです」といいました。 使者の房子は、内裏へ帰り、かぐ や姫のことばを帝に伝えました。 すると、帝が、 「それが…

竹取物語

帝のお召しに応じないかぐや姫 3 日頃は、実の子のように、姫に接 しているおばあさんでしたが、会 うのをいやがっている姫をみると、 強制することはできませんでした。 おばあさんは、使者の所へ戻り、 「申し訳ありません。娘は強情者 でして、お会いし…

竹取物語

帝のお召しに応じないかぐや姫 2 おばあさんは、姫の部屋へ行き、 使者のことばを伝えました。 「姫、早く支度をして、使者のか たに会いなさい」 「私は、美しくありません。だから、 使者のかたには会いません」 「困ったことをいうね。姫、帝の 使者を、…

竹取物語

帝のお召しに応じないかぐや姫 1 帝は、美しいかぐや姫のうわさ を聞き、内侍(ないし)中臣の房 子に命令しました。 「おおぜいの男の心を乱し、誰 とも結婚しないかぐや姫は、ど んな女性なのか。かぐや姫の家 へ行き、じっくり見てきなさい」 使者の房子…

竹取物語

石上の中納言と燕の子安貝 12 中納言の様子を聞き、かぐや姫は お見舞いの歌を送りました。 年を経て浪立ち寄らぬ住の江の まつかひなしと聞くはまことか 家来が、かぐや姫の歌を読んでき かせると、中納言は気力が弱って いたが、頭をもたげて、かぐや姫 …

竹取物語

石上の中納言と燕の子安貝 11 子安貝ではないとわかった中納言 は、いっそう気分が悪くなり、腰が 折れて動けなくなってしまいました。 中納言は、こどもっぽいことをして、 失敗したことを人に知られたくない と思っています。 それが病のもとになって、…

竹取物語

石上の中納言と燕の子安貝 10 中納言が目をさましたので、やっ とのおもいで、鼎の上から中納言 を下へおろしました。 「大丈夫ですか」 「意識は少しあるが、腰が痛くて 動けない。でも、わしは子安貝を とったので、うれしい。とにかく あかりを持ってき…

竹取物語

石上の中納言と燕の子安貝 9 家来たちは、中納言を早く下へ おろそうとして、綱をぐいっとひ きました。 ところが。 綱をひきすぎて、綱がなくなった 瞬間、中納言が八個の鼎の上に、 あおむけに落ちてしまいました。 家来たちはびっくりして、そばに かけ…

竹取物語

石上の中納言と燕の子安貝 8 「わしが登って、巣をさぐろう」 中納言は籠に乗り、綱で吊りあげ られ、燕の巣の中をのぞきました。 すると。 燕が尾を上へあげて、ぐるぐると まわっています。 「よーし、子安貝をとるぞ」 中納言は、手を差し出し、巣の中 …

竹取物語

石上の中納言と燕の子安貝 7 日が暮れたので、中納言は、例の 大炊寮(おおいづかさ)へ行き、 燕の巣をみました。 倉津麻呂が教えてくれたように、 燕が尾を上にあげまわっています。 「燕が、卵を産むぞ」 中納言は、家来を荒かごに乗せ、 綱で吊りあげま…

竹取物語

石上の中納言と燕の子安貝 6 それを聞いた中納言は、喜びました。 そして、ひそかに大炊寮(おおいづ かさ)に出掛け、家来たちの中に交 じって、燕が卵を産むのを監視しま した。 中納言は、倉津麻呂が燕の子安貝 のとり方を教えてくれので、着てい た衣装…

竹取物語

石上の中納言と燕の子安貝 5 「それはいい考えだ」 中納言は、高い足場を壊し、家来 たちに邸へ帰ってくるように伝え ました。 「燕が卵を産むかどうか、どうや ったらわかるのか」 中納言が倉津麻呂に聞くと、 「燕が卵を産む時は、尾を高くあ げ、七回回…

竹取物語

石上の中納言と燕の子安貝 4 中納言は、その老人に直接会い、 子安貝をとる方法を聞きました。 「今やっている方法では、子安貝 はとれません。高い足場に、二十 人もの人が登っていては、燕が怖 がって巣に帰ってきません。 一刻も早く、高い足場を壊し、…

竹取物語

石上の中納言と燕の子安貝 3 「燕の子安貝は、とれたか」 中納言は、使者を派遣して聞きま した。 燕は、人がおおぜい登ってきて、 巣をのぞいているので、巣に帰っ てきません。 燕の様子を聞いた中納言は、「ど うやったら、燕の子安貝をとること ができ…

竹取物語

石上の中納言と燕の子安貝 2 「大炊寮(おおいづかさ)にある 柱の穴に、燕がいくつも巣を作っ ている。家来を連れていき、足場 を高くくみ、燕の巣をのぞけば、卵 をうんでいるかどうかわかります」 すると、中納言が。 「そうか、いいことを聞いた」 中納…

竹取物語

石上の中納言と燕の子安貝 1 中納言石上磨足が、家来たちにい いました。 「燕が巣を作ったら、知らせなさい」 「何の為ですか」 「燕が持っている子安貝をとるため じゃ」 「燕を何羽殺しても、腹の中には子 安貝など入っていません。燕が卵を 産む時、ど…

竹取物語

大伴御行大納言と龍の頸の玉 16 きれいな糸を使ってふかせた屋根 は、鳶や烏が巣を作るために、全 部くわえて持っていってしまいました。 世間の人は、いいました。 「大伴の大納言さまは、龍の頸の 玉をとってきたのかい」 「いや、玉などとってこない。…

竹取物語

大伴御行大納言と龍の頸の玉 15 もしわしが、龍をつかまえていた ら、龍に殺されていただろう。お まえたちが、龍をつかまえないで いてくれてほっとした。大悪党の かぐや姫は、わしやわしの家来た ちを殺そうとして、こんな難題を だしたのだ。今後は、…

竹取物語

大伴御行大納言と龍の頸の玉 14 「龍の頸の玉をとることができな かったので、屋敷に帰ることがで きませんでした。でも、今は、龍 の頸の玉をとることは困難なこと だと、大納言さまもわかっただろ うと思います。なんのおとがめも ないだろうと思い、帰…