2019-11-01から1ヶ月間の記事一覧

花のほほえみ

ばら

花のほほえみ

ばら

開善寺の早梅の精

[童話]開善寺の早梅の精 開善寺の早梅の精 9 「いやいや、おはずかしい」 文次は、女の人にほめられ、顔が赤くなり した。 「ところで、文次さん。なぜここへみえた のですか」 「わしらは、今、甲斐の武田と戦っている。 だが、開善寺の早梅がみたくなっ…

花のほほえみ

ばら

花のほほえみ

ばら

開善寺の早梅の精

[童話]開善寺の早梅の精 開善寺の早梅の精 8 女の人は、「昔の美しかった花のおもかげま で、この梅には残っているようです」と、よ んだのでしょうか。 「すてきな歌ですね。ところで、あなたの名 前は?」 「梅香といいます」 「梅香さんですか。あなた…

花のほほえみ

ばら

花のほほえみ

ばら

開善寺の早梅の精

[童話]開善寺の早梅の精 開善寺の早梅の精 7 「うわさ通り、美しい花じゃのぅ。香りも すばらしい」 文次は、女の人に話しかけました。 すると、女の人は、にっこりほほえみました。 文次は、即興で歌をよみました。 ひびきゆく鐘の声さへ匂ふらん 梅咲く…

花のほほえみ

ばら

花のほほえみ

ばら

開善寺の早梅の精

[童話]開善寺の早梅の精 開善寺の早梅の精 6 文次は、梅の花にみとれていました。 ふと気がつくと、目の前に美しい女の人が立 っていました。 女の人は、いつここへきたのでしょうか。 年のころは、二十才。 いや、もっと若いかもしれません。 清楚な、美…

花のほほえみ

ばら

花のほほえみ

ばら

開善寺の早梅の精

[童話]開善寺の早梅の精 開善寺の早梅の精 5 そして、胸をはずませ、開善寺へいそぎま した。 寺へ着くと、梅の花が咲いていました。 雪のように白い、美しい花でした。 あたり一面に、梅の花のいい香りがただよ っています。 なんともいえない清らかな香…

花のほほえみ

ばら

花のほほえみ

ばら

開善寺の早梅の精

[童話]開善寺の早梅の精 開善寺の早梅の精 4 文次がよむ歌は、戦に疲れた人々の心を、ほ っとなごませました。 情け深い文次は、みんなから「文次さ、文次 さ」としたわれています。 寒さが厳しい暮れのある日。 「開善寺の梅が、咲いたそうだ。後醍醐天…

花のほほえみ

ばら

花のほほえみ

ばら

開善寺の早梅の精

[童話]開善寺の早梅の精 開善寺の早梅の精 3 開善寺の早梅には、こんないいつたえがあり ます。 今からおよそ四百六十年前。 甲斐の武田が、伊那谷にせめてきました。 そして、信濃の村上と戦になりました。 村上頼平の家臣に、和歌をよむ風流な男がお り…

花のほほえみ

ばら

花のほほえみ

ばら

開善寺の早梅の精

[童話]開善寺の早梅の精 開善寺の早梅の精 2 信州は、冬の寒さが厳しく、春の訪れが遅い 地でした。 そんな中、開善寺の早梅は、冬至前後に花が 咲きます。 早く咲く梅として有名でした。 小笠原貞宗は、時の帝・後醍醐天皇に、早梅 をおくりました。 天…

花のほほえみ

ばら

花のほほえみ

ばら

開善寺の早梅の精

[童話]開善寺の早梅の精 開善寺の早梅の精 1 信州の伊那谷に、「開善寺」という禅寺があり ます。 梅・牡丹・藤など、美しい花が咲く寺として有 名でした。 寺には、室町初期に建立された山門や、鎌倉式 のみごとな庭園もあります。 開善寺は、建武二年(…

花のほほえみ

ばら

花のほほえみ

ばら

黄金色のまゆ玉

[童話]黄金色のまゆ玉 黄金色のまゆ玉 23 「明神よ、いつまで奥さんとはなれてくらすつ もりじゃ。一日も早く奥さんと仲なおりしたまえ」 どこからか声が聞こえてきました。 「そうじゃのぅ。一日も早く妻に戻ってきても らわなくてはのぅ」 明神さまは…