2019-01-01から1ヶ月間の記事一覧

女神さまからのおくりもの

[童話]女神さまからのおくりもの 女神さまからのおくりもの 122 第七章 女神さまからのおくりもの 1 「庄屋さま。た、大変です」 白駒の世話をしている人が、吉衛門の部屋へと びこんできました。 「そうぞうしい。何ごとじゃ」 「白駒がいません」 「何…

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[童話]女神さまからのおくりもの 女神さまからのおくりもの 121 第六章 清太、山の中の湖へ 20 「とうちゃんって、ほんとうにひどい人ね。 私、とうちゃんのこと、信じていたのに。清 太さんがかわいそう」 そういうと、きよは自分の部屋へとじこもっ …

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[童話]女神さまからのおくりもの 女神さまからのおくりもの 120 第六章 清太、山の中の湖へ 19 「きよ。とうちゃんを許してほしい。清太は、 この家にはもどってこない。清太には、出て いってもらったのだ」 「とうちゃん。清太さんが、なにかしたの」…

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[童話]女神さまからのおくりもの 女神さまからのおくりもの 119 第六章 清太、山の中の湖へ 18 「でも、白駒は、馬小屋にいるわ。おつ かいの時、いつも白駒に乗って行くのに、 なぜ? それに、ほかの馬も、全部馬小 屋にいるし。清太さんは歩いていっ…

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[童話]女神さまからのおくりもの 女神さまからのおくりもの 118 第六章 清太、山の中の湖へ 17 「あっ、この声、前に聞いたことがある。 そうだ。この声は、白駒がどこかへ出か けた時に聞いた声とそっくりだ」 「清太、こっちですよー」 清太は、声の…

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[童話]女神さまからのおくりもの 女神さまからのおくりもの 117 第六章 清太、山の中の湖へ 16 「うまいっ」 一歩も歩けないほど疲れていたのに、木の実 を一つ食べたとたん、すぅーと疲れがとれま した。 そして、なぜかおなかもいっぱいになりました…

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[童話]女神さまからのおくりもの 女神さまからのおくりもの 116 第六章 清太、山の中の湖へ 15 耳をすますと、足音はもう聞こえません。 「ああ、こわかった」 清太は、大きなため息をつきました。 穴から足をぬこうとした時、いいにおいがして きまし…

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[童話]女神さまからのおくりもの 女神さまからのおくりもの 115 第六章 清太、山の中の湖へ 14 しばらくすると、 「たったった」 「たったった」 どこからか、足音が聞こえてきました。 足音は、だんだんに近づいてきます。 清太は、その足音から逃げる…

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[童話]女神さまからのおくりもの 女神さまからのおくりもの 114 第六章 清太、山の中の湖へ 13 「きよちゃーん。今行くからねー。待っていてね」 そうさけぶと、清太は、湖の中へ入っていきました。 その時です。 「ぐいっ」と、後から肩をつかまれまし…

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[童話]女神さまからのおくりもの 女神さまからのおくりもの 113 第六章 清太、山の中の湖へ 12 おらが死ねば、とうちゃんもかあちゃんも、 悲しむだろう。 親より先に死ぬことはできない。 でも・・・おらは、きよちゃんのことを忘 れることができない…

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[童話]女神さまからのおくりもの 女神さまからのおくりもの 112 第六章 清太、山の中の湖へ 11 きよちゃんがこんなに好きなのに・・・。 なぜきよちゃんのそばで暮らすことができ ないのだろう。 「おじょうさまのことなど、なんとも思っ ていません」…

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[童話]女神さまからのおくりもの 女神さまからのおくりもの 111 第六章 清太、山の中の湖へ 10 庄屋の家で暮らした八年間が、昨日のこと のようになつかしく思い出されました。 初めてきよに会った日のこと。 座禅草をみに行った日のこと。 霧ケ峰高原へ…

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[童話]女神さまからのおくりもの 女神さまからのおくりもの 110 第六章 清太、山の中の湖へ 9 庄屋は、おらのことを、よく働く使用人 としかみていなかったのか。 おらの家は、貧乏だ。 でも、とうちゃんもかあちゃんも、毎日 一生けんめい働いている。 …

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[童話]女神さまからのおくりもの 女神さまからのおくりもの 109 第六章 清太、山の中の湖へ 8 「なんて美しい景色だろう。きよちゃん にみせてあげたいな」 美しい景色をみているうちに、いらだっ ていた清太の心は、だんだんにおだやか になってきまし…

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[童話]女神さまからのおくりもの 女神さまからのおくりもの 108 第六章 清太、山の中の湖へ 7 「庄屋さまがみたという木は、この木に ちがいない。じゃあ、湖は、この近くに あるのだな」 清太は、すこし元気になりました。 モミやツガなどの森をぬける…

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[童話]女神さまからのおくりもの 女神さまからのおくりもの 107 第六章 清太、山の中の湖へ 6 清太は、倒れた木の上で、一休みしま した。 持っているむすびは、三つ。 どんなに腹がへっても、全部食べるわ けにはいきません。 むすびを一つだけ食べまし…

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[童話]女神さまからのおくりもの 女神さまからのおくりもの 106 第六章 清太、山の中の湖へ 5 きよちゃんといっしょにきたかった。 そう思うと、涙がでました。 清太は、こらえきれずに大声で泣きま した。 五分後、思いっきり泣いたせいか、気 持がすぅ…

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[童話]女神さまからのおくりもの 女神さまからのおくりもの 105 第六章 清太、山の中の湖へ 4 しばらくいくと、東の空がだんだんに明 るくなってきました。 そして、山の上から、太陽が顔をだしま した。 太陽をみた清太は、ほっとしました。 「無事に湖…

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[童話]女神さまからのおくりもの 女神さまからのおくりもの 104 第六章 清太、山の中の湖へ 3 いや、そんなことをしてもむだだ。 じゃあ、きよちゃんから、庄屋さまにお願い してもらったらどうだろう。 そんなことをしたら、きよちゃんに迷惑がか かる…

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[童話]女神さまからのおくりもの 女神さまからのおくりもの 103 第六章 清太、山の中の湖へ 2 家へ帰れば、父や母が心配します。 清太は、白駒がたおれていたという湖へ行こ うと思いました。 湖をみながら、これからのことを考えようと 思ったのです。 …

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[童話]女神さまからのおくりもの 女神さまからのおくりもの 102 第六章 清太、山の中の湖へ 1 次の朝。 清太は、夜が明けないうちに、庄屋の家を去 りました。 空には、星がきらきら輝いています。 「きよちゃん。たくさんの思い出を、ありが とう。八年…

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[童話]女神さまからのおくりもの 女神さまからのおくりもの 101 第五章 それぞれの思い 19 どの馬も、みちがえるようにきれいになりま した。 「今日で、お別れだね。今までありがとう。 元気で暮らすのだよ」 清太は、馬たちに声をかけました。 清太は…

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[童話]女神さまからのおくりもの 女神さまからのおくりもの 100 第五章 それぞれの思い 18 きよ、そして清太。 勇気のないわしを、どうか許してほしい。 吉衛門は、心の中で二人にわびました。 「では、これで失礼します。明日は早いので、 あいさつを…

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[童話]女神さまからのおくりもの 女神さまからのおくりもの 99 第五章 それぞれの思い 17 「ありがとうございます。この八年間、庄屋 さまには、わが子のようにかわいがっていた だきありがとうございました。私は、幸せ者 です。庄屋さまはじめおじょう…

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[童話]女神さまからのおくりもの 女神さまからのおくりもの 98 第五章 それぞれの思い 16 「わかりました」 清太は、心ならずもそう答えました。 でも、心の中では、こうさけんでいたのです。 「おらは、きよちゃんと結婚できるような家 に生まれたかっ…

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[童話]女神さまからのおくりもの 女神さまからのおくりもの 97 第五章 それぞれの思い 15 「清太。そうはいかない。実は、きよも清太 が大好きだといっている。結婚することがで きない若い二人が、同じ屋根の下で一緒に暮 らすことはできない。きよのた…

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[童話]女神さまからのおくりもの 女神さまからのおくりもの 96 第五章 それぞれの思い 14 清太のような青年が、きよのむこになってく れたら、どんなにいいだろう。 そして、二人で力をあわせ、この家を守って くれたらどんなにうれしいことか。 吉衛門…

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[童話]女神さまからのおくりもの 女神さまからのおくりもの 95 第五章 それぞれの思い 13 「清太。大声を出してごめん。つい興奮して しまって。ほんとうに申し訳ない」 吉衛門は、清太にあやまりました。 「いいえ。私こそ失礼なことをいい申し訳あ り…

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[童話]女神さまからのおくりもの 女神さまからのおくりもの 94 第五章 それぞれの思い 12 どのくらいの時間がすぎたのでしょうか。 清太にも、吉衛門にも、長い時間がすぎたよう に感じました。 「清太。おまえは、何もかもわかっているのだ ね。清太の…

女神さまからのおくりもの

[童話]女神さまからのおくりもの 女神さまからのおくりもの 93 第五章 それぞれの思い 11 「はい、わかっております。私が、家柄のいい 家に生まれていたら、おじょうさまと結婚させ てくださいと、お願いしたと思います」 「なんだと! 清太」 吉衛門は…