2018-11-01から1ヶ月間の記事一覧

女神さまからのおくりもの

[童話]女神さまからのおくりもの 女神さまからのおくりもの 61 第四章 ゆうすげの花咲く高原で 12 「ああ、その話、庄屋さまから聞 いたことがある。昨年の秋、麦草 峠の近くの山へ、きのこをとりに 行った。その時、道に迷った話を してくれた。 そうい…

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[童話]女神さまからのおくりもの 女神さまからのおくりもの 60 第四章 ゆうすげの花咲く高原で 11 「どこからきたの」 「それがね・・・どこからきたのか、 わからないの」 「どういうこと?」 清太は、思わず聞きかえしました。 「十年前の秋。とうちゃ…

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[童話]女神さまからのおくりもの 女神さまからのおくりもの 59 第四章 ゆうすげの花咲く高原で 10 「こんなにたくさんの日光きすげを 見たのは、初めて。今年の花は、み ごとね」 「おらも、初めて。まるで黄橙色の 山みたいだね」 二人は、白駒の背から…

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[童話]女神さまからのおくりもの 女神さまからのおくりもの 58 第四章 ゆうすげの花咲く高原で 9 途中の高原には、あざみややなぎらん などの花が咲いていました。 車山高原では、日光きすげの花が満開 でした。 高原の上だけでなくすそまで、一面に 花が…

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[童話]女神さまからのおくりもの 女神さまからのおくりもの 57 第四章 ゆうすげの花咲く高原で 8 「ねぇ、とうちゃん。清太さんとゆう すげの花を見に行ってもいいでしょ」 きよは、再び吉衛門に聞きました。 「まあ、清太なら・・・心配ないだろ う。き…

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[童話]女神さまからのおくりもの 女神さまからのおくりもの 56 第四章 ゆうすげの花咲く高原で 7 「清太さんは、誠実な人よ。とう ちゃんが心配することは、何もな いわ」 きよは、きっぱりいいました。 「とうちゃんも、そう思う。清太 は、まじめな青年…

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[童話]女神さまからのおくりもの 女神さまからのおくりもの 55 第四章 ゆうすげの花咲く高原で 6 次の朝。 「とうちゃん。今日、清太さんと 一緒に、ゆうすげの花を見に行っ ていい?」 「どこへ行くんだい」 「霧ケ峰高原よ」 「きよ。ゆうすげの花は、夕…

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[童話]女神さまからのおくりもの 女神さまからのおくりもの 54 第四章 ゆうすげの花咲く高原で 5 「私も、ゆうすげの花が見たい」 「きよちゃん。ゆうすげの花は、 夕方でないと咲かないんだよ。そ れに、夕方二人だけで遠出するこ とは、庄屋さまが許し…

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[童話]女神さまからのおくりもの 女神さまからのおくりもの 53 第四章 ゆうすげの花咲く高原で 4 「何年か前、庄屋さまのおともで、 夕方霧ケ峰高原を通ったことがある。 その時、どこからかいい香りがして きた。なんの香りかなと近づいてみ ると、黄色の…

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[童話]女神さまからのおくりもの 女神さまからのおくりもの 52 第四章 ゆうすげの花咲く高原で 3 「笑顔がすてきだね」 やしきで働いている人たちは、みん なきよが好きでした。 一方、清太も「清太や、清太や」と いって、みんなにかわいがられてい ます…

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[童話]女神さまからのおくりもの 女神さまからのおくりもの 51 第四章 ゆうすげの花咲く高原で 2 「まつさん、体の具合はどう? 無理しないでね」 きよは、やしきで働いている人た ちのことを、いつも気にかけてい ました。 「なくなった奥さまも、きさく…

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[童話]女神さまからのおくりもの 女神さまからのおくりもの 50 第四章 ゆうすげの花咲く高原で 1 八年がすぎました。 清太は、二十才。 きよは、十七才になりました。 きよは、美しい娘に成長しました。 庄屋の家では、畑やたんぼの仕事を する人、山の仕…

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[童話]女神さまからのおくりもの 女神さまからのおくりもの 49 第三章 座禅草が咲いている高原で 22 その後。 きよと清太は、白駒の背にのり、八ヶ岳 のふもとの高原へいろいろな花をみに行 きました。 春は、座禅草やすみれを。 初夏には、れんげつつじ…

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[童話]女神さまからのおくりもの 女神さまからのおくりもの 48 第三章 座禅草が咲いている高原で 21 「えーとね、たしか・・・権現岳と横岳 かな」 清太は、天狗岳・根石岳・硫黄岳・横岳・ 阿弥陀岳と、八ヶ岳連峰の山の名前を教 えてくれました。 八ヶ…

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[童話]女神さまからのおくりもの 女神さまからのおくりもの 47 第三章 座禅草が咲いている高原で 20 「さあ・・・」 清太は、知っていました。 でも、てれくさくていえませんでした。 なぜなら、清太は、きよが大好きだっ たからです。 二人は、座禅草が…

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[童話]女神さまからのおくりもの 女神さまからのおくりもの 46 第三章 座禅草が咲いている高原で 19 「私とふくちゃん、そんなによく にている?」 「ああ、よくにている。双子みた いだ。顔もにているが、むじゃき でかわいいところがそっくりだ。 二人…

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[童話]女神さまからのおくりもの 女神さまからのおくりもの 45 第三章 座禅草が咲いている高原で 18 「ふくちゃんは、なぜ一人で守屋 山へ行ったのだろう」 清太は、今でもふくの気持がわか りません。 「おら、きよちゃんと初めて会っ た時、本当にびっ…

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[童話]女神さまからのおくりもの 女神さまからのおくりもの 44 第三章 座禅草が咲いている高原で 17 「そうなんだ。ふくちゃんは、み んなが留守の間に、一人で守屋山 へ福寿草の花をとりに行ったんだ。 そして、道にまよってしまった。 運悪く、その日…

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[童話]女神さまからのおくりもの 女神さまからのおくりもの 43 第三章 座禅草が咲いている高原で 16 「いたよ。ふくちゃんは、かわいい 少女だった。ふくちゃんはね、かあ ちゃんの乳で育ったんだよ」 「えっ、ほんとう? じゃあ、二人 は、兄と妹のよう…

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[童話]女神さまからのおくりもの 女神さまからのおくりもの 42 第三章 座禅草が咲いている高原で 15 「長者の家って?」 「守屋山のふもとにある朝日長者の家だよ」 「その家なら、私知っている。あそこのお じさんととうちゃんは、友だちなの」 「そう…

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[童話]女神さまからのおくりもの 女神さまからのおくりもの 41 第三章 座禅草が咲いている高原で 14 「清太さんのおかあさんって、どんな人」 「やさしい人。笑顔のすてきな人かな」 「清太さんは、おかあさんが大好きなのね」 「うん。大好きだよ」 か…

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[童話]女神さまからのおくりもの 女神さまからのおくりもの 40 第三章 座禅草が咲いている高原で 13 「清太さんは、なんでも知っているのね」 「かあちゃんが教えてくれたんだ。かあ ちゃんは、花や小鳥が大好き。きよちゃ んにも、いつかかあちゃんを紹…

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[童話]女神さまからのおくりもの 女神さまからのおくりもの 39 第三章 座禅草が咲いている高原で 12 「きよちゃん。赤褐色の部分を、なんと いうか知っている? ぶつえんほうとい うんだよ」 「ぶつえんほう?」 「そう。仏の炎の苞と書くんだよ」 清太…

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[童話]女神さまからのおくりもの 女神さまからのおくりもの 38 第三章 座禅草が咲いている高原で 11 高原には、あちらこちらに、赤褐色の 花が咲いています。 「清太さん。これが、座禅草の花なの」 「そうだよ。おもしろい形をしている だろう」 「ほん…

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[童話]女神さまからのおくりもの 女神さまからのおくりもの 37 第三章 座禅草が咲いている高原で 10 「うん。おらは、白駒が大好き。白駒も、 おらが好きだと思うよ。ねぇ、白駒」 白駒は、「私も、清太さんが大好き」と いうように、「ひひーん」となき…

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[童話]女神さまからのおくりもの 女神さまからのおくりもの 36 第三章 座禅草が咲いている高原で 9 「さあ、おじょうさま。出発しよう」 馬小屋へついた時、清太がうれしそう にいいました。 「清太さん。きよってよんで」 「おらが、おじょうさまのこと…

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[童話]女神さまからのおくりもの 女神さまからのおくりもの 35 第三章 座禅草が咲いている高原で 8 「それはそうだけれど・・・。おら、この 家に世話になった時から、おじょうさま ってよんでいるし。急にそういわれてもね」 「私、清太さんのこと、うち…

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[童話]女神さまからのおくりもの 女神さまからのおくりもの 34 第三章 座禅草が咲いている高原で 7 「おらは、この家の使用人だ。おじょう さまのことを、きよなんてよびすてには できない」 「何いっているの。清太さん」 「だって、庄屋のおじょうさま…

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[童話]女神さまからのおくりもの 女神さまからのおくりもの 33 第三章 座禅草が咲いている高原で 6 「よく知っているね。諏訪の神様は、 諏訪明神とよばれている。農耕の神 様・狩猟の神様・風の神様ともよば れているんだよ。諏訪大社はね、日 本で最も…

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[童話]女神さまからのおくりもの 女神さまからのおくりもの 32 第三章 座禅草が咲いている高原で 5 「祭のたびに、何人もけが人がでる。 時には、亡くなる人もある。山奥か ら巨大な樅の木をひいてきて、四つ の神社に四本ずつ大きな柱を建てる。 御柱祭…