2016-03-01から1ヶ月間の記事一覧
良き事の何かあるごと思ひして 我はクローバーの五つ葉を摘む
物忘れ多くなりしを互みに言ひ 今宵の宿に湿布薬貼る
お互ひの家に寄りては共に手芸に 励みし友よ急に身罹る
天国に在す夫君と今頃は 何を語りて友は居ますや
喜寿の写真を友は遺影と言ひ居りき 思ひ掛けずも今日は斎場に
ヒスイ峡の清き流れはきりたちし 明星山の岩壁に映ゆ
飯田より離り行くごと紅葉の 色濃くなりて小谷に向ふ
蜀黍の生食できるピュアホワイト 甘味のありて栗の如しも
山形の人等好み食ふと言ふ スベリヒユ初めて芥子和へにする
頃合良く乾きし苦瓜にグラニュー糖 まぶせば干し菓子意外に旨し
夏ばての特効薬とモロヘイヤ 厨に叩く音軽やかに響く
畑隅に抜きても抜きても絶ゆるなき 十薬を冷蔵庫の脱臭剤に入れる
どくだみは受粉もせずに種子を作る 単為生殖なりと知りたり
梅雨明けの庭に酸漿色づきて 姉と鳴らしし遠き日を恋ふ
休耕の畑に壮年団が作りたる 馬鈴薯を袋に詰め放題で買ふ
体温と同じ暑さの今日一日 体気怠く意欲も湧かず
綿をつめ形整へし犬の縫ひぐるみ 眼付ければ尾を振るごとし
天竜の川風を受け新設の 舟形の足湯に和ぎつつ浸かる
一人静二人静の中に珍しく 三人静の花茎立ちぬ
寒暖の微妙に変はるこの季節 ストーブと扇風機居間に同居す
ヒマラヤの岩塩層より堀りしとふ 薄紅色の塩甘くまろやか
逝きし娘の修学旅行の土産物 「孫の手」を今宵も偲びつつ使ふ
咲き盛るカモミールの花ハーブ茶に 色と香りを楽しみて飲む
海蛍は成長しても三ミリにて 寿命は僅か半年と知る
暗闇の瓶の中なる海蛍 電気ショックに青く光りぬ
ハンドバックに夫の遺影忍ばせて 子等に招かれ房総へ来ぬ
月面より昇る地球はまん丸く 青く輝き夢見る如し
吾よりも腕を上げしか娘の研ぎし 包丁とみに切れ味の良し
人間とは贅沢なもの新聞の 大文字に馴れれば当り前となる
食生活に心配りし一月に コレストロール正常となる