2018-10-01から1ヶ月間の記事一覧

女神さまからのおくりもの

[童話]女神さまからのおくりもの 女神さまからのおくりもの 31 第三章 座禅草が咲いている高原で 4 「私は、『いやぁー、山の神様ぁー、 お願いだぁー』という木遣りの歌が、 今でも耳に残っているわ」 「おらは、宮川の近くの丘の上から、 川越しをみた…

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[童話]女神さまからのおくりもの 女神さまからのおくりもの 30 第三章 座禅草が咲いている高原で 3 「今日の清太さんは、別人みたい」 きよは、心の中でそっとつぶやきました。 「おじょうさまは、諏訪へ行ったことが ある?」 「あるわ。とうちゃんと一…

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[童話]女神さまからのおくりもの 女神さまからのおくりもの 29 第三章 座禅草が咲いている高原で 2 「座禅草はね、おもしろい形をしている んだよ」 「おもしろい形って」 「みればわかるよ、おじょうさま」 清太は、おどけていいました。 「おらの家の近…

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[童話]女神さまからのおくりもの 女神さまからのおくりもの 28 第三章 座禅草が咲いている高原で 1 春の遅い佐久にも、ようやく暖かな春 がやってきました。 庄屋の庭でも、福寿草の花が咲き始め ました。 「おじょうさま」 「なぁに、清太さん」 「これ…

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[童話]女神さまからのおくりもの 女神さまからのおくりもの 27 第二章 諏訪からきた少年 11 「吉衛門さんは、いい息子さんがいて、 幸せじゃのぅ」 「いや、清太は、わしの息子ではない。 わが家で働いている少年じゃ。こんなす てきな息子がいたら、う…

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[童話]女神さまからのおくりもの 女神さまからのおくりもの 26 第二章 諏訪からきた少年 10 十二才の清太にとって、何頭もの馬の世話を することは、辛い仕事でした。 馬にえさをやったり、馬小屋の掃除をしたり、 馬の体をふいたり。 時には、小川へつ…

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[童話]女神さまからのおくりもの 女神さまからのおくりもの 25 第二章 諏訪からきた少年 9 白駒は「心配かけてごめんね」というように、 清太に甘えました。 清太は、白駒がどこかへ行っていたことを、誰 にも話すことができませんでした。 「おじょうさ…

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[童話]女神さまからのおくりもの 女神さまからのおくりもの 24 第二章 諏訪からきた少年 8 四時間後。 「もしかしたら、馬小屋に戻っているかもしれ ない」 清太は、急いで馬小屋へ戻りました。 いました。 白駒は、何事もなかったかのように、えさを食 …

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[童話]女神さまからのおくりもの 女神さまからのおくりもの 23 第二章 諏訪からきた少年 7 あれは夢ではなく、本当のことだったのでしょ うか。 清太は、他の馬小屋も探しました。 でも、白駒はいません。 白駒は、庄屋さまが宝物のように大切にしてい る…

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[童話]女神さまからのおくりもの 女神さまからのおくりもの 22 第二章 諏訪からきた少年 6 そして、白駒が外へ飛び出しました。 白駒の背には、美しい女のひとが乗っています。 「あのひとは、誰だろう。白駒、どこへ行くの。 待ってー」 清太は、自分の…

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[童話]女神さまからのおくりもの 女神さまからのおくりもの 21 第二章 諏訪からきた少年 5 きよは、白駒の様子をみに、毎日馬小屋へ やってきます。 そして、馬の世話をしている清太のそばで、 楽しそうにおしゃべりをしていきました。 清太が庄屋の家へ…

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[童話]女神さまからのおくりもの 女神さまからのおくりもの 20 第二章 諏訪からきた少年 4 ふくは、清太の母の乳で、大きくなりました。 でも、八才の時、一人で守屋山へ福寿草の花 をとりに行き、道に迷いこごえ死んでしてし まったのです。 実の兄弟の…

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[童話]女神さまからのおくりもの 女神さまからのおくりもの 19 第二章 諏訪からきた少年 3 きよは、清太の顔をみた時、いつかどこ かで会ったことがあるような、とてもな つかしい気がしました。 しかし、どこで会ったのか、思いだせま せん。 一方、清太…

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[童話]女神さまからのおくりもの 女神さまからのおくりもの 18 第二章 諏訪からきた少年 2 「清太さんが、白駒の世話をしてくれる のね。やさしそうな人でよかった。とう ちゃんも私も、白駒が大好き。清太さん、 ほかの馬や牛もよろしくね」 きよが、に…

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[童話]女神さまからのおくりもの 女神さまからのおくりもの 17 第二章 諏訪からきた少年 1 それから二年がすぎました。 まゆみの実が桃色になった秋の ある日。 庄屋の家へ、少年がやってきま した。 「清太。これが、わしの一人娘、 きよじゃ。今、九才…

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[童話]女神さまからのおくりもの 女神さまからのおくりもの 16 第一章 白駒は、誰の馬? 10 白駒が一才になると、きよは白駒の 背に乗り、八ヶ岳のふもとの高原を 走りまわりました。 白駒は、足の速い、人の気持がよく わかる馬でした。 とくに、きよの…

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[童話]女神さまからのおくりもの 女神さまからのおくりもの 15 第一章 白駒は、誰の馬? 9 「おじょうさまは、白駒が好きなんだね」 「私、白駒が大好き」 「わしも、大好きじゃ。白駒は、やさし い目をしている。わしは若い時から、 庄屋の家で馬の世話…

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[童話]女神さまからのおくりもの 女神さまからのおくりもの 14 第一章 白駒は、誰の馬? 8 すると、白駒が「ひひーん」となきま した。 これが、きよと白駒の出会いでした。 この時、きよは七才。 白駒は、生まれたばかりでした。 その後。 何日たっても…

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[童話]女神さまからのおくりもの 女神さまからのおくりもの 13 第一章 白駒は、誰の馬? 7 「早く迎えにきてくれるといいね。 とうちゃん、馬の名前はどうするの」 二人は、いろいろな名前をあげま した。 「雪のように白いから、白雪」 「楓の紅葉がきれ…

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[童話]女神さまからのおくりもの 女神さまからのおくりもの 12 第一章 白駒は、誰の馬? 6 「この馬は、誰の馬じゃ」 とうちゃんは、大声で何度もたず ねた。 でも、誰も返事をしない。 けがをしている馬を、そのままお いてくるわけにもいかない。 だか…

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[童話]女神さまからのおくりもの 女神さまからのおくりもの 11 第一章 白駒は、誰の馬? 5 湖のまわりには、楓が真っ赤に 紅葉していた。 その姿が湖にうつって、とてもき れいだった。 湖のまわりを歩いていると、この 馬がたおれていたんだ。 馬は、足…

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[童話]女神さまからのおくりもの 女神さまからのおくりもの 10 第一章 白駒は、誰の馬? 4 しかし、あせってみてもしかたが ない。 とうちゃんは、倒れている木の株 に腰をおろし休んだ。 そして、手伝いのばあやがにぎっ てくれたむすびを食べた。 その…

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[童話]女神さまからのおくりもの 女神さまからのおくりもの 9 第一章 白駒は、誰の馬? 3 今朝。 とうちゃんは、夜があけないうち に、八ヶ岳のふもとの山へ、きの こをとりに行った。 山へ着いたのは、朝日がのぼる ころだったかな。 おととい、雨が降っ…

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[童話]女神さまからのおくりもの 女神さまからのおくりもの 8 第一章 白駒は、誰の馬? 2 すると。 庭には、かわいい子馬が。 雪のように白い馬でした。 子馬は、つぶらなひとみで、きよ をじっとみています。 「わぁー、かわいい馬。とうちゃん、 この馬…

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[童話]女神さまからのおくりもの 女神さまからのおくりもの 7 第一章 白駒は、誰の馬? 1 八ヶ岳のふもと、佐久の里にも、さ わやかな秋がやってきました。 ふもとの山では、木々の紅葉が始ま りました。 「ただいま」 吉衛門が、山から帰ってきました。 …

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[童話]女神さまからのおくりもの プロローグ 6 こどものいない長者夫婦は、その子 に「ふく」と名前をつけ大切に育て ました。 ふくに乳を飲ませてくれたのは、清 太の母でした。 清太とふくは、実の兄弟のように仲 良く育ちました。 それから三年がすぎま…

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[童話]女神さまからのおくりもの プロローグ 5 十一カ月後。 守屋山のふもとの村に、元気な男 の子が生まれました。 清太と名づけられた男の子は、す くすく大きくなりました。 清太が生まれて一カ月後。 桜の花が満開になったある日。 朝日長者の門前に、生…

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[童話]女神さまからのおくりもの プロローグ 4 「清太に限らず、どの人も自分の魂 と同じ人を選らび、こどもにしても らうのじゃ」 「出発は、いつでしょうか」 「二十日後」 「えっ、二十日後?」 「そうじゃ。急なことで悪いのぅ。 どうしても、ふくと一…

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[童話]女神さまからのおくりもの プロローグ 3 「それはわからぬ。会えるかもしれ ないし、会えないかもしれない。 ・・・というのは、あちらの国へ行く時、 すべての記憶が消されてしまうから じゃ。だから、きよに会っても、妻だ ったということがわから…

女神さまからのおくりもの

[童話]女神さまからのおくりもの プロローグ 2 「その山は、たしか・・・信州にある山」 「そう、諏訪湖の近くにある山じゃ。 清太、お願いがあるのだが」 「何でしょうか」 「ふくと一緒に、あちらの国へ行って もらえないだろうか」 「私がですか」 「無…