2015-10-01から1ヶ月間の記事一覧

母の短歌集

七十年経たるはらから四人の写真 色褪せ残るは二人となりぬ

母の短歌集

新年の日記に向かひ八十年の わが来し方と行く末を想ふ

母の短歌集

雲の上に吾を見守り呉るるらむ 亡き父母夫を思ひて仰ぎぬ

母の短歌集

胸去らぬ一つを今日も持て余し 声高らかに追儺の豆まく

母の短歌集

凍みゆるみし今朝は体も心も軽く 新しきエプロンにて掃除にかかる

母の短歌集

この年を表す漢字は「愛」となる 心温まる良き響きあり

母の短歌集

結婚後の生活設計を話し呉るる 孫に幸あれと祈りつつ聞く

母の短歌集

結婚後の生活設計を話し呉るる 孫に幸あれと祈りつつ聞く

母の短歌集

結婚後の生活設計を話し呉るる 孫に幸あれと祈りつつ聞く

母の短歌集

十二支の木目込人形作り終へ 戌より始む押絵の人形

母の短歌集

亡き母を手伝ひて作りし繭玉を 小正月来れば懐しく思ふ

母の短歌集

雪消えて緑つやますほうれんそう 笊一杯に葉のみ摘み来ぬ

母の短歌集

温暖化防止に始まりしウォームビズ 着こなしのセンスに差のつくを見る

母の短歌集

新しき介護保険証届きたり 一病息災に使ふなく生きたし

母の短歌集

初めての薬害体験身に沁みて 炎症を抑へむ軟膏を塗る

母の短歌集

十月になりても夏日の続く庭 満天屋ははや色づき初めぬ

母の短歌集

逝きし娘の許へ届けと慈光寺の 供養の鐘を慎みて撞く

母の短歌集

先生のみ墓辺に立てば慈光寺の 供養の鐘のやさしく聞こゆ

母の短歌集

再びは登ること無けむ新墾の道 下り来てズボンの草の実をとる

母の短歌集

山下水湧きて流るるせせらぎを 聞きつつ先生の新墾へ登る

母の短歌集

肥かつぎ土屋先生登られし 新墾を見むと山道登る

母の短歌集

十月の青空澄みてソメイヨシノ 不時現象に優しく咲きをり

母の短歌集

安曇野の橋の道祖神手をつなぐあり 酒をつぐ在り心和み渡る

母の短歌集

この度の衆院選ほど関心持ちし 選挙なかりし投票をすます

母の短歌集

夫や娘も黄泉の国より名月を 眺め居るらむ外に出でて見る

母の短歌集

上出来に仕上がりし梅干しを楽しみて 朝茶にかかさず日々を過ごしぬ

母の短歌集

抗癌剤に抜けし娘の黒髪を 粘着テープに取るは辛かりき

母の短歌集

癌保険も生命保険も掛け置きて 定めのごとくわが娘逝きたり

母の短歌集

保険を掛け夫や子供に経済的負担を かけず逝きし娘を思ふ

母の短歌集

逝きし娘の好みし夏水仙二十本 花束のごとく庭に明るし