2016-02-01から1ヶ月間の記事一覧
アイロンを丁寧にかけて足らひをり リフォームして仕上げし手提袋を
亡き父の筆跡懐かしみ今日も使ふ 昭和十一年旧姓の物差し
何か良き事ある如き思ひして 金緑色の玉虫を拾ふ
新しき宇宙時代の幕開けと 「きぼう」より土井さんの喜びの声
健やかに余生送らむと朝日浴び 貯筋体操日課に励む
亡き父母を想ひて望む古里の 神の峰今日は黄砂に霞む
軒先に列なる氷柱如月の 日に煌めきて雫し止まず
読み進む「土屋文明の添削」に 劣等感の募り来たりぬ
我儘を許してくれと気楽なる 一人暮しを続け来たりぬ
「鬼は外」とまく鬼打豆は門先の 積もれる雪に忽ち沈む
降りつづく重たき雪を掻くことにも 体力の限界を思ふ老いとなりぬ
炬燵辺に物縫ふ母と蜂蜜をかけて 雪食べし遠き日想ふ
エコロジー進み来たりて送りくる 歳暮の包み簡単となる
食品の偽装改竄相次ぎし 今年の漢字は「偽」の一字なり
躓くな転ぶなと娘に労られ 一週間分の買物をする
この年は吾が大殺界と聞きゐしに 嬉しきこと多き良き年なりき
娘の家のチワワは風呂や炊飯器の 電子音聞き分け教へて呉るる
囲炉裏辺に藁を叩きて作りゐし 亡き父思ひ布草履編む
足を開き親指にかけて草履編む 不恰好なれど致し方なし
仕上がりし布の草履は足裏に 感触の良く廊下を歩む
日に温むぴんころ地蔵の頭撫で ぴんぴんころりを只管祈る
小春日を浴びて微笑み立ち座す ぴんころ地蔵に心の和む
頼岳寺の静もる境内に赤彦の 扇面の歌碑雅やかに建つ
懐古園巡り来たりて乾きたる 喉に懐かしき甘酒を飲む
城跡の山本寛助ゆかりの鏡石 老いし吾が姿うっすら写す
草笛のメロディー流れくる懐古園 木下の道を口遊みゆく
吾が声を聞きたくなりしと雨の日の 友の電話は胸を潤す
吟行の旅に橘寺より種を貰ひ 育てし芙蓉は吾が丈を越す
お彼岸に入りても真夏日続く庭 満天星早くも色付き初めぬ