2019-02-01から1ヶ月間の記事一覧

火とぼし山

[童話]火とぼし山 火とぼし山 6 第一章 次郎、西の村へ 4 「どうしたの。次郎さん」 「大事な話がある」 「次郎さん。話って、何?」 「おれ、引っ越すことになった」 次郎が、早口でいいました。 「えっ?」 きよは、次のことばが出ませんでした。 「いい…

火とぼし山

[童話]火とぼし山 火とぼし山 5 第一章 次郎、西の村へ 3 「二回目に行った時も、福寿草の花はなかなか みつからなかった。あきらめて帰ろうとした時、 ふもとの畑の土手に、黄金色の花が咲いていた。 きれいだったね」 きよと次郎は、土手一面に咲いてい…

火とぼし山

[童話]火とぼし山 火とぼし山 4 第一章 次郎、西の村へ 2 「次郎さん。諏訪湖の西といったら、何を 思い出す?」 「守屋山かな」 「私も」 「何年か前、福寿草をみに、守屋山へ行っ たことがあったね」 「おぼえている。あれは、七年前の春。私 が十才、次…

火とぼし山

[童話]火とぼし山 火とぼし山 3 第一章 次郎、西の村へ 1 「次郎さん。みて、白鷺よ」 「白鷺?」 「ほら、あそこ」 きよが、諏訪湖の上空を指さしました。 白鷺が二羽、西山にむかって飛んでいます。 「白鷺って、美しい鳥だね」 「私、白鷺が大好き。次…

火とぼし山

[童話]火とぼし山 火とぼし山 2 プロローグ 2 次の朝。 「なんだ、これは?」 「すごい割れ目だね」 湖をみた人々は、びっくり。 湖の氷が割れていたのです。 氷がせりあがり、いくえにもかさなりあって います。 大きな氷の山は、こどもの背丈ほどありま…

火とぼし山

[童話]火とぼし山 火とぼし山 1 プロローグ 1 星のきれいな夜でした。 みしっ、みしっ。 ぱりっ。 バリバリッ。 ばしゃっ。諏訪湖の方から、大きな音が聞こえてきました。 「あなた。明神さまは、今夜も奥さまのところへ でかけたのね」 「奥さまのことが…

女神さまからのおくりもの

[童話]女神さまからのおくりもの 「女神さまからのおくりもの」の連載を始め たのは、昨年の十月一日でした。 「女神さまからのおくりもの」を読んでいた だきありがとうございました。https://youko510.hatenablog.com/entry/2019/02/21/070000 最初から読…

女神さまからのおくりもの

[童話]女神さまからのおくりもの 女神さまからのおくりもの 143 第七章 女神さまからのおくりもの 22 「きよちゃーん。あの湖はね、白駒池って いうんだよ。きよちゃんと暮らした八年間、 とても楽しかった。ほんとうにありがとう。 きよちゃんが、すべ…

女神さまからのおくりもの

[童話]女神さまからのおくりもの 女神さまからのおくりもの 142 第七章 女神さまからのおくりもの 21 「清太さーん。さようなら。私のこと、忘 れないでねー」 そうさけんだ時、真っ赤に紅葉した楓の葉 が、一枚湖に落ちました。 楓の葉は、湖の中へ消…

女神さまからのおくりもの

[童話]女神さまからのおくりもの 女神さまからのおくりもの 141 第七章 女神さまからのおくりもの 20 はてしなく続く草原を、清太がさっそうと 走っています。 「清太さーん。私よー」 きよは、大声でさけびました。 でも、清太からは、何の返事もあり…

女神さまからのおくりもの

[童話]女神さまからのおくりもの 女神さまからのおくりもの 140 第七章 女神さまからのおくりもの 19 でも、清太の姿は見えません。 「白駒。清太さんの姿が見えないわ。なぜ」 きよは、一分でも早く、清太の姿を見たいと 思いました。 「きよさん。心…

女神さまからのおくりもの

[童話]女神さまからのおくりもの 女神さまからのおくりもの 139 第七章 女神さまからのおくりもの 18 コメツガなどの原生林をぬけると、目の前に 湖があらわれました。 湖のまわりでは、楓やななかまどの葉が、真 っ赤に紅葉しています。 その姿が、湖…

女神さまからのおくりもの

[童話]女神さまからのおくりもの 女神さまからのおくりもの 138 第七章 女神さまからのおくりもの 17 「はい」 きよは、女神さまと約束しました。 「白駒。清太の姿がみえる場所へ、きよを案内 してあげなさい」 「では、きよさん。行きましょう」 白駒…

女神さまからのおくりもの

[童話]女神さまからのおくりもの 女神さまからのおくりもの 137 第七章 女神さまからのおくりもの 16 「私の使命は、何でしょうか」 「心をしずめ、自分の心に聞いてみなさい。そう すれば、わかります。あなたは、庄屋の一人娘と して生まれ、今まで何…

女神さまからのおくりもの

[童話]女神さまからのおくりもの 女神さまからのおくりもの 136 第七章 女神さまからのおくりもの 15 「じゃあ、清太さんは、もうこの世にはいないの ですね」 「はい、いません。清太は、私たちの国で、心静 かに暮らしています。あなたと暮らした八年…

女神さまからのおくりもの

[童話]女神さまからのおくりもの 女神さまからのおくりもの 135 第七章 女神さまからのおくりもの 14 「食べてはいけない木の実って?」 「真っ赤な木の実です。神様だけが食べること を許されている木の実です。この木の実を、一 つでも食べたものは、…

女神さまからのおくりもの

[童話]女神さまからのおくりもの 女神さまからのおくりもの 134 第七章 女神さまからのおくりもの 13 女神さまは、自殺の恐ろしさについて、話を してくれました。 「その人の命は、神様からいただいた大切な もの。どんなに苦しくても、辛くても、定め…

女神さまからのおくりもの

[童話]女神さまからのおくりもの 女神さまからのおくりもの 133 第七章 女神さまからのおくりもの 12 「自殺をすると、そんなに長い間、暗闇の中 で暮らすのですか」 「そうですよ。自殺は、重罪。その人の心の 中に住んでいる内在神を殺すことなのです…

女神さまからのおくりもの

[童話]女神さまからのおくりもの 女神さまからのおくりもの 132 第七章 女神さまからのおくりもの 11 「私は、清太さんが大好きでした。清太さん は、今どこにいるのでしょうか」 「清太は、かわいがってくれたあなたのおと うさんに追い出され、生きる…

女神さまからのおくりもの

[童話]女神さまからのおくりもの 女神さまからのおくりもの 131 第七章 女神さまからのおくりもの 10 「なくなった朝日長者の娘・ふくちゃんは?」 「ふくは、あの世で、あなたが姉のようにし たっていた人ですよ。こどものいない長者夫 婦に、諏訪の神…

女神さまからのおくりもの

[童話]女神さまからのおくりもの 女神さまからのおくりもの 130 第七章 女神さまからのおくりもの 9 「では、わが家で働いていた清太さんは?」 「清太は、諏訪の神様が、守屋山のふもとに 住んでいる夫婦に授けたこどもです。清太の 両親は、心の清い人…

女神さまからのおくりもの

[童話]女神さまからのおくりもの 女神さまからのおくりもの 129 第七章 女神さまからのおくりもの 8 そんな母の姿をみて、私は大きくなりま した」 「あなたが七才になった時、あなたの家 へ白駒を送ろうと思いました。どんな娘 に育っているか、心配だ…

女神さまからのおくりもの

[童話]女神さまからのおくりもの 女神さまからのおくりもの 128 第七章 女神さまからのおくりもの 7 「そうです。あなたの両親は、長い間 こどもが授かりませんでした。 二人は、元気なこどもをお授けくださ いと、毎日神様にお願いしていました。 だか…

女神さまからのおくりもの

[童話]女神さまからのおくりもの 女神さまからのおくりもの 127 第七章 女神さまからのおくりもの 6 「白駒は、女神さまの馬だったのですね。 白駒が、夜どこかへでかけていることは、 先日清太さんから聞きました」 「そうですか。 清太は、八年位前か…

女神さまからのおくりもの

[童話]女神さまからのおくりもの 女神さまからのおくりもの 126 第七章 女神さまからのおくりもの 5 すると・・・。 どこからか、赤いちょうが舞ってきました。 ちょうは松虫草の花にとまると、ゆっくり 羽を広げました。 くじゃくの羽のように美しいち…

女神さまからのおくりもの

[童話]女神さまからのおくりもの 女神さまからのおくりもの 125 第七章 女神さまからのおくりもの 4 高原へ着くと、一面すすきの原でした。 すすきにまじり、松虫草の花が咲いています。 きよは、松虫草の方へ歩いて行きました。 松虫草の花は、朝日をあ…

みほようこ小さな童話館

[童話]みほようこ小さな童話館 三月末に、「ヤフーのホームページ」が終了 になります。「みほようこ小さな童話館」の移転が、無事 終了しました。 みほようこ小さな童話館https://mihoyouko.web.fc2.com/index.html これからも、「みほようこ小さな童話館」…

女神さまからのおくりもの

[童話]女神さまからのおくりもの 女神さまからのおくりもの 124 第七章 女神さまからのおくりもの 3 白駒がいなくなって、十日後。 「とんとん」 「とんとん」 誰か戸をたたいています。 「誰かしら」 窓をあけると、白駒が立っていました。 「白駒。ど…

女神さまからのおくりもの

[童話]女神さまからのおくりもの 女神さまからのおくりもの 123 第七章 女神さまからのおくりもの 2 きよは部屋にとじこもったまま出てこないし、 清太は行方がわからない。 その上、白駒までいなくなってしまうなんて。 どうしてこんなことになってしま…