2016-05-01から1ヶ月間の記事一覧
ソューズは今宇宙ステーションにドッキング 成功の映像喜びて見る
オレンジ色の炎を上げて野口さん 乗るソユーズは宇宙へ飛び立つ
庭隅のコンテルクラマゴケのもみぢ葉に 初雪かかり美しく映ゆ
七度目の年女となり初日の出拝み 満月を仰ぎて足らふ
軒下に冬中使ふ長葱を 埋けて今年の畑仕事終はる
老人会の席に吾等の洗ひたる 座布団に座る感触の良し
アクリルの派手なる毛糸に編みあげし 魔法の束子厨に映ゆる
後幾年かくして野菜作り得るや 虫の音聞きつつ碗豆を蒔く
借金が税収よりも多き国の財政 老いといへども心の痛む
落葉炊きし残り火気遣ひ外に出でて 暮れ行く年の満月仰ぐ
新米の季くれば想ふ五平餅 焼き呉れし父母囲炉裏辺のはらから
吾等洗ひし座布団カバー二百枚 あねさん被りしてかけ替え終はる
友逝きて空き家となりし庭内の 満天星の紅葉に声かけて見る
雪被く妙高山の上空に 十六夜の月嵌めこまれたり
野尻湖の湖畔の雪を珍しみ 丸めて友等としばし遊びぬ
歌会に行くには辛き雨なれど 芽生えし秋野菜思へば嬉し
すだく虫聞きつつ間引きし大根葉 母作りしごと胡麻和へにする
天候の不順に里芋の株張りて 一株の収穫ボール一杯
わが庭に生れたる蝉の抜け殼か 網戸に一つ止まりてをりぬ
新盆の蝋燭の揺らぎに在りし日の 友の笑顔のしばし浮かびぬ
初どりの玉蜀黍にて作りたる コーンスープに食の進みぬ
独り居の媼施設に入り行きて 菜園たちまち草に覆はる
久々の雨を喜び鋤きて匂う 畑に大根ほうれん草をまく
人の死はかくも容易く来るものか 心通ひし三人旅立つ
暮れなづむ庭に半夏生の白き葉と 紫陽花の白花浮き立ちて見ゆ
菜園の土手草刈りに仔蛙は 左右に跳ねて手許狂はす
次に見るは二十六年後の皆既日食 亡き夫の許に吾は居るらむか
皆既日食四十六年ぶりに吾が観むと 「ピンホールスコープ」を作りて待てり
卒寿迄リュックを背負ひ買い物に 行きたる友の幻にたつ
二人静の花のごとく雄しべと 雌しべだけある花を「裸花」と知りたり