2014-02-01から1ヶ月間の記事一覧
秋晴れの縁に座りて一時帰国の 三才の幼を初めていだきぬ
推敲は作歌の最初で最後なりと 先生のみ教へ心にしみぬ
医者の夫と子等に囲まれ幸せとふ 笑顔の従姉妹に心安らぐ
帰国せし孤児の従姉妹と通訳を 通し話すはいたくもどかし
こほろぎ一つ走る厨に幾度も 水替へて煮る栗の渋皮煮
心なき人の一言に傷つきゐる 友を思ひて話題をそらす
いつくしみ育てしカナリヤをのみし蛇 巣にとぐろまき息づかひ荒し
在りし日のままなる夫の標札を 動かし過ぐる夕風のあり
夫亡きもしばし忘れる思ひして 天の橋立またのぞきする
ペルーに生れいまだ顔を見ぬ一才半の 孫の水着の写真届きぬ
歌にせむ物を捕へて言葉を探す しばし時の間心豊けき
娘紀子をよろしく頼むと娘の父の 見せし涙を今も忘れず
新しき毛並み装ひカナリアの さへずり高く秋の深まる
紫蘇の枝を刻みて入れし健康枕 夜半に寝返る床に匂ひぬ
久々にリズムにのりて踊る夕べ 頬輝きて友等美し
一冬の松葉を拾ひ水替へし 苔むす石鉢雲を映せり
吾娘の弾く「雪の降る町に」にあわせつつ 声はりあげて我も歌ひぬ
うす暗き一茶住みしとふ土蔵の中 我等しばし息つめて立つ
百枚目のセーター今宵編みあげて 編機をぬぐひ油をさしぬ 百枚目のセーターは、誰のセーターだった のかしら。 初孫のセーターだったのかな?
一本の細き毛糸に夢たくし 今日も一日セーターを編む 母は、四人のこどもに、たくさんの セーターを作ってくれました。 編み機の音をなつかしく思い出します。 おかあさん、ありがとう。
清掃の終はりし川の底澄みて 夏休みの児等声あげて遊ぶ
祈りこめ小さき石に般若心経の 一字一字を書き入れていく