2015-08-01から1ヶ月間の記事一覧
日曜日の楽しみの一つ新聞の クロスワードパズル只管にうめる
「足音が肥料になる」と園芸の 世界で言はれるを吾は諾ふ
亡き夫への感謝の心にATMより 清しく出でし新札を見る
娘の看取りに只管なりしも欠詠なく 過ぎしをせめてもの慰めとせむ
戌年より始めし木目込人形も 十二支揃ひ夢叶ひたり
彼女のこと包み隠さず話す孫の 優しき笑顔も逞しく見ゆ
正月を二十度に設定せし子の家より 帰ればわが家の寒しとも寒し
何処より飛び来しならむオレンジ色の パラグライダーわが上を行く
蓑虫は錦木を好むかこの秋も 枝に幾つも下がりて揺るる
戌年より始めし木目込人形も 来年の酉にて遂に十二支揃ふ
囲炉裏辺に新米の五平餅焼き呉れし 亡き母想ひ焼きたてを買ふ
展望台より下るリフトに白樺の 落葉舞ひ来てわが頬を打つ
運動会にわが出番待つ一時を 左上欠けし部分日食を観る
岡麓の書なると聞きし酒の銘 「大雪渓」の看板目立つ
岡麓の詠みし湧井の傍らの 紫式部に雨降りしきる
洗濯の完了ブザーの鳴るを聞き 盥の前の母を偲びぬ
病院もパソコンとなりわが医師も キー叩きつつ問診をなす
逝きし娘の庭より移せし杜鵑草 在りし日のごと清らかに咲く
四十代にて老後に備へると言ひゐし娘 老後を待たず逝きてしまひぬ
申年の申月申日は八月九日 娘は下着を持ち来て呉れぬ
かって吾も母に贈りしを思ひつつ 申年にと娘に下着を貰ふ
ティーンスプーン一杯分のこの蜂蜜 一匹の蜂が一生かかりしものぞ
朝々にヨーグルトにかける一匙の 蜂蜜尊し粗末にできず
酸奨の赤き袋に雫して 台風の雨もことなく過ぎぬ
わが庭のラベンダーを干し 匂袋作らむと今宵小袋を縫ふ
逝きし娘の面影残る孫の土産 白桃の香り部屋に漂ふ
繭玉を剥ぎて作りし白き小花 キューピーの帽子の飾りにつけぬ
トンネルをぬける電車の音高し 明日は恐らく雨となるらむ
夏至過ぎて昨日より十分早く 沈む日を思ひつつ畑仕事にかかる
遠山郷の名産と聞く馬鈴薯は 急斜面の畑に掘られるを待つ