2013-02-01から1ヶ月間の記事一覧

八千矛神の歌物語(大国主命5)

八千矛神の歌物語 8 私は女ですから、あなた以外に男はい ません。 あなた以外に夫はいません。 綾織りの帳がひらりとたれている下で、 カラムシの寝具の柔らかな下で、 タクの寝具のざわざわ鳴る下で、 淡雪のような白い胸をやさしくだいて ください。 そ…

八千矛神の歌物語(大国主命5)

八千矛神の歌物語 7 愛しい妻よ。 たくさんの鳥が飛び立つように、私が 大勢のおとものものに引かれていった ならば、あなたは泣くまいと強がって いても、山にはえているススキのよう にうなだれて、泣くだろう。 あなたの嘆きは、朝の雨が霧となって たち…

八千矛神の歌物語(大国主命5)

八千矛神の歌物語 6 片手を馬の鞍にかけ、片足を鐙に入れ て、大国主命が詠んだ歌。 黒い衣を着て、水鳥のように胸元を みる。 そして、鳥が羽ばたくように、袖を あげさげしてみるが似合わない。 波が引いていくように、後に衣を脱 ぎ捨て、今度はかわせみ…

八千矛神の歌物語(大国主命5)

八千矛神の歌物語 5 大国主命の正妻・須勢理媛は、大国主 命が他の国へ行くたびに、その国の美 しい女性を妻にすることが許せません でした。 そんなうわさを聞くたびに、須勢理媛 はやきもちをやきました。 ある日。 大国主命は、須勢理媛のやきもちに手 …

八千矛神の歌物語(大国主命5)

八千矛神の歌物語 4 緑の山に日が暮れたら、夜にはおいで ください。 朝日のような晴れやかな顔でやってき て、白い腕で淡雪のような若い胸をや さしくだいてください。 そして、私の手を枕にして、いつまで もゆっくりお休みください。 だから、あまりこい…

八千矛神の歌物語(大国主命5)

八千矛神の歌物語 3 あなたからの返事を待っていると、山 ではとらつぐみが鳴き、野では雉がけ たたましく鳴いています。 そして、庭ではにわとりが時をつげて います。 なんといまいましい鳥たちだろう。 どうか鳥たちの鳴き声をとめておくれ。 こんな意味…

八千矛神の歌物語(大国主命5)

八千矛神の歌物語 2 をとめこの寝すや 板戸を押ひぶらひ 吾が立たせれば 引こづらひ吾が立たせれば 青山に鵺は鳴きぬ さ野つ鳥雉子は響む 庭つ鳥鶏は鳴く うれたくも鳴くなる鳥か この鳥もうち止めこせね 私、八千矛神は、すてきな妻をさがし て日本中を歩…

八千矛神の歌物語(大国主命5)

八千矛神の歌物語 1 越の国奴奈川に、大きな翡翠を持って いる美しい巫女がいました。 巫女の名は、沼河比売。 翡翠の女神とよばれています。 沼河比売は、川で拾った硬玉を加工し、 勾玉などの宝石を作る玉造集団の長で した。 うわさを聞いた大国主命は、…

スクナビコナ(大国主命4)

「古事記」にでてくる「スクナビコナ」 を読んでいただきありがとうございま した。 スクナビコナ 1http://d.hatena.ne.jp/dowakan/20130218#p1 スクナビコナ 2http://d.hatena.ne.jp/dowakan/20130219#p1 スクナビコナ 3http://d.hatena.ne.jp/dowakan/2…

スクナビコナ(大国主命4)

スクナビコナ 3 大国主命とスクナビコナは、二人で 力をあわせ、豊かな国を作っていき ました。 その後。 スクナビコナは、常世国へ帰ってい きました。 大国主命は「私一人で、立派な国を 作っていけるだろうか」と、心配し ました。 そんな時。 海を照ら…

スクナビコナ(大国主命4)

スクナビコナ 2 すると、蟇蛙は「クエビコが知っている でしょう」と。 クエビコとは、たんぼの中に立っている かかし。 ものしりでした。 「小さな神様は、高皇産霊神の子で、 スクナビコナですよ」 かかしが、そう教えてくれました。 高皇産霊神なら、大…

スクナビコナ(大国主命4)

スクナビコナ 1 ある日。 大国主命が、出雲のみほ岬に立ってい ると、はるか向こうに小さな舟がみえ ました。 舟は、どんどんこちらに近づいてきます。 舟にのっているのは、小さな神様とお ともたち。 ががいもの細長い実を割って作った、 小さな舟でした…

蛇の室・かぶら矢の試練(大国主命3)

「古事記」にでてくる「蛇の室・かぶら 矢の試練」を読んでいただきありがと うございました。 蛇の室・かぶら矢の試練 1http://d.hatena.ne.jp/dowakan/20130204#p1 蛇の室・かぶら矢の試練 2http://d.hatena.ne.jp/dowakan/20130205#p1 蛇の室・かぶら矢…

蛇の室・かぶら矢の試練(大国主命3)

蛇の室・かぶら矢の試練 13 そんなある日。 因幡の八上媛が、大国主命をしたって、 はるばる訪ねて来ました。 八上媛は、何カ月かして、大国主命の こどもを生みました。 しかし、大国主命には、すでに須勢理媛 という正妻がいたので、八上媛はそのこ ども…

[童話]蛇の室・かぶら矢の試練(大国主命3)

蛇の室・かぶら矢の試練 12 みことは、その坂の上から、大国主命 にむかって大声でさけびました。 「おーい、小僧っ。わしの太刀と弓矢 を使って、そちの兄弟の八十神どもを たおせ。 そして、国の神の頭になり、 宇迦山に立派な宮殿を建てろ。 わしのだい…

蛇の室・かぶら矢の試練(大国主命3)

蛇の室・かぶら矢の試練 11 髪の毛がたる木にしばりつけてあった ので、大力のみことが立ちあがると、 その部屋はめりめりっと大きな音をた てつぶれてしまいました。 「おのれ、小僧めっ」 みことは、ひどく怒り、髪の毛をひと 束ずつ解いていきます。 そ…

蛇の室・かぶら矢の試練(大国主命3)

蛇の室・かぶら矢の試練 10 みことはすっかり安心して、大きない びきをかき寝てしまいました。 大国主命は、ぐずぐずしていると、こ の先どんなひどいめにあうかわからな いと思い、みことの長い髪をいく束に も分け、四方のたる木へしばりつけま した。 …

蛇の室・かぶら矢の試練(大国主命3)

蛇の室・かぶら矢の試練 9 みことの長い髪をかき分けると、しら みではなく、たくさんのむかでがたか っています。 困ったなと思っていると、須勢理媛が そばへ来て、椋の実と赤土をわたして くれました。 「これで、どうするの」 大国主命は、須勢理媛に目…

蛇の室・かぶら矢の試練(大国主命3)

蛇の室・かぶら矢の試練 8 須勢理媛は、大国主命が焼け死んでし まったと思い、嘆き悲しみました。 野原の火が消えると、とむらいの道具 を持って、大国主命のなきがらをさが してあるきました。 みことも「今度こそ死んだだろう」と 思い、須勢理媛の後か…

蛇の室・かぶら矢の試練(大国主命3)

蛇の室・かぶら矢の試練 7 大国主命がとほうにくれていると、目 の前にねずみがとびだしてきました。 「うちはほらほら、そとはすぶすぶ」 ねずみは、そういいました。 「中はがらんどうで、外はすぼまって いますよ」と、伝えたかったのでしょ うか。 大国…

蛇の室・かぶら矢の試練(大国主命3)

蛇の室・かぶら矢の試練 6 みことは、草がぼうぼう茂っている広 い野原へ、大国主命をつれていきました。 みことは、かぶら矢をかまえると、「え いっ」と矢を射ました。 その矢は、矢の先にかぶら状のふくらみ があり、中が空洞になっていて、矢を射 ると…

蛇の室・かぶら矢の試練(大国主命3)

蛇の室・かぶら矢の試練 5 その日の夜。 みことは、むかでと蜂がいっぱい入っ ている室へ、大国主命をつれていきま した。 「今夜は、ここで寝るがいい」 それを聞いた須勢理媛は、みことにみ つからないように、別の首飾りのきれ を、大国主命にわたしまし…

蛇の室・かぶら矢の試練(大国主命3)

蛇の室・かぶら矢の試練 4 須勢理媛がでていくと、たくさんの蛇が かま首をもたげ、いっせいに大国主命に むかってきました。 蛇が嫌いな大国主命は、その姿をみただ けで気絶しそうでした。 夢中で、きれを三度ふりました。 すると、ふしぎなことに、蛇た…

蛇の室・かぶら矢の試練(大国主命3)

蛇の室・かぶら矢の試練 3 その夜。 みことは、大国主命を蛇の室へつれて いきました。 室の中には、大小の蛇がうじゃうじゃ います。 「今夜は、ここで寝るがいい」 「えっ、ここで・・・」 蛇がきらいな大国主命は、とほうにくれ ました。 「そうじゃ」 …

蛇の室・かぶら矢の試練(大国主命3)

蛇の室・かぶら矢の試練 2 玄関に立っていたのは、すらっとした 美しい青年でした。 「大国主命でございます」 「おまえが、大国主命か。母は、元気 かな」 「はい」 「おまえに会うのは、初めてじゃのぅ」 すると、須勢理媛が「お父さま。 この かた、ずっ…

蛇の室・かぶら矢の試練(大国主命3)

蛇の室・かぶら矢の試練 1 大国主命は、母のすすめで、地底の国・ 根堅国に住んでいる須佐之男命を訪ね ました。 「須佐之男命さまのお宅でしょうか」 「はい」 出てきたのは、須佐之男命の娘・須勢 理媛でした。 「なんてかわいい人だろう」 「あら、すて…

赤い猪(大国主命2)

古事記にでてくる「赤い猪」を読んで いただきありがとうございました。 赤い猪 1http://d.hatena.ne.jp/dowakan/20130129#p1 赤い猪 2http://d.hatena.ne.jp/dowakan/20130130#p1 赤い猪 3http://d.hatena.ne.jp/dowakan/20130131#p1 赤い猪 4http://d.…

赤い猪(大国主命2)

赤い猪 5 そして、おかあさまは、大国主命を一生 けんめい看病しました。 母の祈りが通じたのか、大国主命は再び 生きかえりました。 「これ以上、おまえをここにおいておく わけにはいかない。 すぐに、須佐之男 命さまが住んでいる、根堅国へ逃げなさい。…

赤い猪(大国主命2)

赤い猪4 その様子を遠くからみていた八十神たち は、「また生きかえったのか」とくやし がりました。 八十神たちは、大国主命を殺そうと、再 び相談しました。 ある日。 八十神たちは、大国主命をうまくだまし、 今度は別の山へつれていきました。 八十神た…