2017-06-01から1ヶ月間の記事一覧

竹取物語

竹取物語 3 「おじいさん。この子を、二人で 育ててあげましょうよ」 「そうだね。そうしょう」 女の子は、おじいさんの家で暮ら すことになりました。 あまりに小さいので、籠の中に入 れて大切に育てました。 一ヶ月後。 おじいさんが竹をとりに行くと、 …

竹取物語

竹取物語 2 「ばあさん、ばあさん」 「何ですか、おじいさん。大きな 声を出して」 「ばあさん。かわいい女の子をつ れてきたよ」 「えっ、どこに?」 「ここだよ」 おじいさんは、手のひらに、女の 子をのせてみせました。 「小さなかわいい子ね。どこから…

竹取物語

竹取物語 1 昔、むかし、大昔。 ある所に、竹取りのおじいさんが いました。 名は、讃岐の造。 おじいさんは、竹をとり、籠など を作って暮らしています。 ある日。 おじいさんが竹をとりに行くと、 「ぴかっ」と光っている竹があり ました。 「何だろう」 …

海彦山彦

童話「海彦山彦」を読んでいただき ありがとうございました。 幼い時、絵本で「海彦山彦」の物語 を読んだことがあると思います。 「海彦山彦」の物語は、「古事記」 にのっています。 海彦山彦http://d.hatena.ne.jp/dowakan/20170528 「次の日」「次の日」…

海彦山彦

豊玉比売の出産 6 後に、玉依比売と鵜葺草葺不合命 は、結婚しました。 そして、五瀬命・稲氷命・御毛沼 命・神倭伊波礼毘古、四人のこど もを生みました。 そのこどもの一人が、初代天皇に なった神倭伊波礼毘古(のちの神 武天皇)でした。 御毛沼命は常…

海彦山彦

豊玉比売の出産 5 山彦のことを忘れることができな い豊玉比売は、玉依比売に歌をこ とづけました。 赤玉は緒さえ光れど白玉の 君が装ひし貴くありけり 豊玉比売の歌をうけとった山彦は、 こんな歌を返しました。 奥つ島鴨著(ど)く島に我が率寝し 妹は忘…

海彦山彦

豊玉比売の出産 4 豊玉比売は、生んだこどもを産屋 に置くと、海坂をふさぎ海の国へ 帰ってしまいました。 生まれたこどもは、鵜葺草葺不合 命(うかやふきあえずのみこと)と 名づけられました。 豊玉比売は、置いてきたこどもの ことが心配で、妹の玉依比…

海彦山彦

豊玉比売の出産 3 すると・・・。 豊玉比売は、大きな鰐になってい ました。 鰐は腹ばいになり、くねくねと身 をくねらせています。 その様子をみた山彦は、「あっ」と 大声をあげ逃げました。 豊玉比売は、山彦がのぞき見した ことを知り、恥ずかしく思い…

海彦山彦

豊玉比売の出産 2 ところが・・・。 鵜の羽で屋根をふきおえないうち に、豊玉比売はお腹の痛みに耐え られなくなり、未完成の産屋へ入 りました。 「他の国では、こどもを生む時、 本来の姿でこどもを生みます。だ から、絶対に中をのぞかないでく ださい…

海彦山彦

豊玉比売の出産 1 しばらくして、豊玉比売が、山彦 の所へやってきました。 「私のお腹には、山彦さまのこど もがおります。天の神の御子を、 海原で生むわけにはいきません。 だから、ここへやってきました」 「そうか、赤ちゃんができたのか。 いつうまれ…

海彦山彦

塩満珠と塩乾珠 3 海彦が許しをこうと、塩乾珠をと りだし海彦を助けました。 山彦は、海彦が攻めてくるたび に、塩満珠を使い海彦を困らせ たのです。 「山彦。これまでのことを許して ほしい。わしが悪かった。これか らは、全力でおまえを守っていく。 …

海彦山彦

塩満珠と塩乾珠 2 「山彦、何をぶつぶついっている のだ」 「何も」 その後。 海彦は、田に水がこないので、米 がとれなくなりだんだんに貧しく なっていきました。 そして、山彦をねたみ、攻めてく るようになりました。 海彦がやってくると、山彦は塩満 …

海彦山彦

塩満珠と塩乾珠 1 「兄さん。ただいま」 「山彦、どこへ行っていたのだ」 「兄さんのつり針を探していました。 やっとつり針がみつかりました」 「ほんとうか」 「はい」 「兄さん。つり針を返すので、後 を向いてください」 「なぜ後を向くのだ」 海彦は、…

海彦山彦

豊玉比売 12 その鰐は、約束通り、一日で山彦 を地上の国へ送りました。 鰐が帰ろうとした時、山彦は身に つけていた紐つきの懐剣をほどき、 鰐の背中に結びつけました。 「鰐よ、ありがとう。気をつけて 帰るのだよ」 山彦は、鰐の姿が見えなくなるま で…

海彦山彦

豊玉比売 11 海の神は、すべての鰐を集め聞き ました。 「婿が、地上の国へ帰るそうじゃ。 鰐たちよ、何日で婿を送り帰って くることができるかな」 すると。 「わしは、十日」 「わしは、五日」 鰐たちが口々にいいました。 「わしは、一日で山彦さまを送…

海彦山彦

豊玉比売 10 「兄が高い所へ田を作ったら、そ なたは低い所に田を作りなさい。 海の神のわしが水を支配している ので、兄は三年の間に収穫がなく なり、貧しくなるだろう。 そのことを恨んで兄が攻めてきた ら、この塩満珠をとりだし、兄を おぼれさせなさ…

海彦山彦

豊玉比売 9 海の神が鯛の喉を調べると、大き なつり針がささっていました。 すぐにつり針を取り出し、きれい に洗い清めました。 「山彦よ。探していた針は、これ かな」 「はい。その針です」 「このつり針を兄に返す時、こう いいなさい。このつり針は、…

海彦山彦

豊玉比売 8 「私は、なくしてしまった兄のつ り針を探しに、ここへやってきま した」 山彦は、兄と道具の取り換えを して、つり針をなくしてしまったこ とを、海の神に話しました。 海の神は、すべての魚を集め、魚 たちに聞きました。 「婿のつり針をとっ…

海彦山彦

豊玉比売 7 山彦のため息を聞いた豊玉比売は、 どうしたのだろうと心配しました。 豊玉比売は、海の神に相談しました。 「父上。山彦さまは、ここへきて 三年になりますが、ため息などつ いたことは一度もありません。そ れなのに、昨晩は大きなため息を つ…

海彦山彦

豊玉比売 6 「山彦さま。娘の豊玉比売をもら っていただけないだろうか」 海の神は、たくさんの結納品を、 立派な台にのせ用意しました。 その日。 山彦と豊玉比売は、結婚しました。 そして、海の神の宮殿で、豊玉比 売と幸せに暮らしました。 三年がすぎ…

海彦山彦

豊玉比売 5 「瓊瓊杵尊さまは、天照大御神さ まの孫。そのかたの御子が、山彦 さまじゃ」 「山彦さま、どうぞ中へ」 海の神は、山彦を宮殿の中へ案 内しました。 そして、海驢(あしか)の皮の敷物 を何枚も重ね、その上にまた絹の 敷物を何枚も重ねてしき…

海彦山彦

豊玉比売 4 背の高いりりしい青年が、にっこ り笑って立っていました。 「まあ、すてきなかた」 「なんてかわいい人だろう」 お互いに一目ぼれ。 豊玉比売は、父の海の神に知らせ ました。 「父上、宮殿の入口に、すてきな 青年がきております」 「どなたか…

海彦山彦

豊玉比売 3 「外に誰かいるのですか」 「はい。桂の木の上に、立派な青 年がおります。海の神のような、高 貴な感じのするかたです。そのか たが水を求めたので、水をさしあ げました。 でも、そのかたは水を飲まずに、玉 を瓶にはきいれたのです。玉をとろ…

海彦山彦

豊玉比売 2 「何だろう」 ふしぎに思った侍女が上をみると、 桂の木に青年がいました。 「水を一杯いただきたいのですが」 山彦は、侍女にお願いしました。 「どうぞ」 侍女は水をくみ、山彦にさしだし ました。 山彦は水を飲まずに、首にかけて いた玉飾り…

海彦山彦

豊玉比売 1 しばらく行くと、大きな宮殿がみ えてきました。 「あれが、海の神の宮殿にちがい ない」 山彦は、ほっとしました。 宮殿についた山彦は、桂の木を探 しその木に登り、海の神の娘がや ってくるのをじっと待ちました。 二時間後。 海の神の娘・豊…

海彦山彦

海彦山彦 9 「綿津見神とは?」 「海の神様じゃ。宮殿の入口に、 大きな井戸がある。そのそばに、 桂の木があるので、木に登って 待っているがいい。そうすれば、 海の神の娘がそなたをみつけて くれるだろう。そして、相談にのっ てくれるだろう」 「あり…

海彦山彦

海彦山彦 8 自分の剣でたくさんのつり針をつ くり、許しをこうたのですが、兄 は許してくれません。元のつり針 でなくてはだめだといって、つり 針を受け取ってくれないのです」 「そうか。そんなことで悩んでい たのか。わしにいい考えがある」 「ほんとう…

海彦山彦

海彦山彦 7 そんなある日。 山彦はまた海へ行き、ぼんやり海 をながめていました。 「兄さんは、なぜ大事な剣で作っ たつり針を、受け取ってくれない のだろう。つり針をなくしたこと は悪いけれど、かわりのつり針を 受け取ってくれてもいいじゃない か。…

海彦山彦

海彦山彦 6 「そんなつり針ではだめだ。元の つり針でなくては」 海彦は、つり針を受け取ってくれ ません。 山彦は、また別の剣で千本のつり 針を作り、海彦に渡しました。 「兄さん。どうかこのつり針で許 してください」 「許さん。元のつり針でなくては …

海彦山彦

海彦山彦 5 次の日。 山彦は海へ行き、つり針を探して 歩きました。 でも、つり針はみつかりません。 「兄さん。一日中、つり針を探した けれどみつからなかった。ごめん なさい」 「つり針がみつかるまで、毎日海 へ行き探してこい」 海彦は許してくれませ…