2019-03-01から1ヶ月間の記事一覧

花のほほえみ

福寿草

火とぼし山

[童話]火とぼし山 火とぼし山 37 第四章 一ヶ月に一度の出会い 9 「まあ、どんなに仲がよくても、たまには けんかもするさ。このわしだって、妻とけ んかをする。わしが、このように妻のやし きへ通うようになった原因だって、ほんの ささいなけんかだっ…

花のほほえみ

ふきのとう

火とぼし山

[童話]火とぼし山 火とぼし山 36 第四章 一ヶ月に一度の出会い 8 「そうしたら、なんていったの」 「きよちゃんとは、月に一度、会ったらどう かといわれた。野良の仕事が忙しいから、そ ういったのだろうけれど」 「一カ月も、次郎さんに会えないなんて、…

花のほほえみ

乙女椿

火とぼし山

[童話]火とぼし山 火とぼし山 35 第四章 一ヶ月に一度の出会い 7 「次郎さん。なぜ、ほんとのことを、主人に いわなかったの。最初にきちんと話しておけ ば、なんでもないことなのに。 次郎さんは、 私と会うことが迷惑だったの」 きよが、強い口調でいい…

花のほほえみ

福寿草

火とぼし山

[童話]火とぼし山 火とぼし山 34 第四章 一ヶ月に一度の出会い 6 すると、 「きよちゃん。実は、おれ・・・」 次郎が、いいにくそうに話を始めました。 「次郎さん。どうしたの」 「実は、きよちゃんと」 次郎さんて、ほんとにじれったい人ね。いい たい…

「はてなハイク」が終了。

3月27日、「はてなハイク」が終了になりました。2008年12月9日から今日まで、3760日。 十年三ヶ月半、「はてなハイク」へ投稿してきました。 今までの記事を、kodakanaさまが保存してください ました。 kodakana さま、本当にありがとうござい…

火とぼし山

[童話]火とぼし山 火とぼし山 33 第四章 一ヶ月に一度の出会い 5 何に対する不安なのか、次郎にもわかり ませんでした。 次郎は、きよのそばにいると、ほっとし ます。 そして、心がなごみました。 「きよちゃんて、ふしぎな人だな」 次郎は、きよと会う…

火とぼし山

[童話]火とぼし山 火とぼし山 32 第四章 一ヶ月に一度の出会い 4 「熱なんてないわ。次郎さん、心配しないで。 私の手は、いつも熱いの。さあ、冷めないう ちにお酒を飲んで」 きよは、次郎に酒をすすめました。 「うまいっ」 次郎は、こんなおいしい酒を…

火とぼし山

[童話]火とぼし山 火とぼし山 31 第四章 一ヶ月に一度の出会い 3 「次郎さん。いつものお酒よ」 「きよちゃん。このとっくり、どうしたの。 すごく熱い」 「いつものように、手で温めてきただけよ」 きよはそういったけれど、手で温めてきた だけで、こん…

火とぼし山

[童話]火とぼし山 火とぼし山 30 第四章 一ヶ月に一度の出会い 2 きよは、次郎のことを考えながら、湖のま わりを足早に歩いて行きます。 しかし、歩いても、歩いても、なかなか次 郎の所へたどりつけません。 何時間もかけ、やっと次郎の所へつきました…

火とぼし山

[童話]火とぼし山 火とぼし山 29 第四章 一ヶ月に一度の出会い 1 寒さの厳しい諏訪にも、ようやくあたたかな 春がやってきました。 諏訪湖の氷も、とけはじめました。 今日は、次郎と会う日。 きよは、湖のまわりを歩いていくことにしま した。 湖のまわ…

火とぼし山

[童話]火とぼし山 火とぼし山 28 第三章 湖の氷の上を歩く娘 10 一方、きよと次郎は、いつものように一晩中 語りあかしました。 仕事のこと、家族のこと、霧ケ峰高原へ花を みに行った時の思い出などを、夢中で語りあ いました。 離れて暮らす二人にとっ…

火とぼし山

[童話]火とぼし山 火とぼし山 27 第三章 湖の氷の上を歩く娘 9 「大好きな青年に、会うためじゃ。湖の氷 の上を歩けば、短時間で青年の所へ行ける。 娘が毎晩会いに行くとは思わないが、娘を みはっていてほしい。手長と足長に頼んで おけば、安心じゃか…

火とぼし山

[童話]火とぼし山 火とぼし山 26 第三章 湖の氷の上を歩く娘 8 「氷の上を歩く娘? 明神さま。湖の氷は、 まだ薄い。氷の上を歩くなんて、危険です。 こんな寒い日に、湖に落ちれば死んでしま いますよ」 足長が、心配していいました。 「だから、娘が湖…

火とぼし山

[童話]火とぼし山 火とぼし山 25 第三章 湖の氷の上を歩く娘 7 「湖の氷は、まだ薄い。娘が湖に落ちたら 大変だと思って、そっと後をつけたのじゃ。 娘は、青年に会うために、山の中へ入って いった。うらやましいくらい仲のいいカッ プルだったよ」 明神…

火とぼし山

[童話]火とぼし山 火とぼし山 24 第三章 湖の氷の上を歩く娘 6 「ほんとに仲のいいカップルじゃのぅ。みて いても、うらやましいくらいじゃ。娘の名前 は、きよ。青年の名前は、次郎というのか。 やさしそうな、感じのいい娘じゃのぅ。娘の あのうれしそ…

火とぼし山

[童話]火とぼし山 火とぼし山 23 第三章 湖の氷の上を歩く娘 5 「次郎さん。はい、お酒」 「お酒?」 「寒いから、次郎さんに飲んでもらおうと 思って、持ってきたの」 きよは、小さなとっくりを、次郎にわたし ました。 「うまいっ」 次郎は、うまそうに…

火とぼし山

[童話]火とぼし山 火とぼし山 22 第三章 湖の氷の上を歩く娘 4 「次郎さん、こんばんは」 「きよちゃん。今夜は、ずいぶん早かったね」 「私、湖の上を歩いてきたの」 「えっ、湖の氷の上を?」 次郎が驚いて聞きました。 「一分でも早く、次郎さんに会い…

火とぼし山

[童話]火とぼし山 火とぼし山 21 第三章 湖の氷の上を歩く娘 3 「娘よ。なぜ氷の上を歩くのじゃ。湖の氷 は、まだ薄い。湖に落ちれば、死んでしま うぞ。このわしでさえ、今夜初めて氷の上 を歩いたのじゃ。おまえは、ほんとにむて っぽうな娘じゃのぅ」 …

火とぼし山

[童話]火とぼし山 火とぼし山 20 第三章 湖の氷の上を歩く娘 2 明神さまは、諏訪地方を守っている神様。 農耕の神様・狩猟の神様・風の神様とも いわれています。 明神さまは、下諏訪に住んでいる奥さん の所へ行く途中でした。 「娘か。こんな寒い夜、あ…

火とぼし山

[童話]火とぼし山 火とぼし山 19 第三章 湖の氷の上を歩く娘 1 北風が吹く寒い季節になりました。 諏訪湖には、氷がはっています。 今日は、次郎と会う日。 きよは、湖の氷の上を歩いて行こうと思い ました。 でも、湖の氷は薄く、氷の上にのぼると、 「…

火とぼし山

[童話]火とぼし山 火とぼし山 18 第二章 再会 7 「十日後なんて、いや。私、毎晩でも次郎さん に会いたい。だって、引っ越しをする前は、毎 日次郎さんと会っていたんだもの」 きよが、さみしそうにいいました。 「じゃあ、五日後に会おう。きよちゃん。…

火とぼし山

[童話]火とぼし山 火とぼし山 17 第二章 再会 6 「そうか」 「次郎さん。野良の仕事は、疲れるでしょ」 「なれない仕事だから疲れる。夜になると、 体中が痛くて」 腰をさすりながら、次郎がいいました。 「次郎さん。体だけは気をつけてね」 「きよちゃ…

火とぼし山

[童話]火とぼし山 火とぼし山 16 第二章 再会 5 「次郎さん。今、どんな仕事をしているの」 「田んぼの草取りや、野菜の収穫をしてい る。蚕も飼っているよ」 「蚕を?」 「おらが働いている家では、蚕をたくさん 飼っている。桑の葉をつむのは、おらの仕…

火とぼし山

[童話]火とぼし山 火とぼし山 15 第二章 再会 4 二人は、再会できたことを心から喜び ました。 「はい、次郎さん。むすびよ」 「むすび?」 「次郎さんに食べてもらおうと思って、 持ってきたの。食べて」 きよは、次郎にむすびをわたしました。 「うまい…

火とぼし山

[童話]火とぼし山 火とぼし山 14 第二章 再会 3 小さな火をみてから、一時間後。 やっと、次郎の所へたどりつきました。 家を出てから、どのくらいの時間がたっ ているのでしょうか。 「次郎さん。会いたかったわ」 きよは、次郎にかけよりました。 「き…

火とぼし山

[童話]火とぼし山 火とぼし山 13 第二章 再会 2 「次郎さん。早く火をたいてね」 きよは、心の中で祈りました。 西山に、ぽっと小さな火がともりました。 次郎と約束していなければ、みのがして しまいそうな小さな火でした。 「あっ、次郎さんだ。約束通…