2015-04-01から1ヶ月間の記事一覧
病院の待合室での今日の話題 介護保険値上げと年金の減額
返り咲く赤き芝桜忽ち埋めつくし 思ひ見ぬ早き初雪の降る
ピンクの毛糸に作りし子犬に目と鼻を つければ愛らし尾をふるごとし
種多きことも味はひの一つにて 久々に熟れし通草を頬張る
来年の干支の未に「金の三ッ俵」 背負はせて木目込人形成りぬ
当座漬けは初霜のふりし塩加減と 母の教へ思ひ蕪菜を漬けぬ
午の木目込人形を仕舞ひ未を飾る 一年の巡りまことに速し
アフガンの子等の描きし絵はなべて 黒や灰色の悲しみの色
電子辞書の拡大機能まこと良し 眼鏡かけずにたしかに見ゆる
独り居のままごとめしき食事作り 栄養のバランス常に気遣ふ
睦ましく肩を寄せ合ふ道祖神 夕映えに頬は紅さしてゐる
庭の蝉も夫を迎へて鳴きくるるか 迎へ火たきつつ澄みし声きく
十一桁の住民票コード受取りぬ 目的外使用のなきを願ひつつ
陸軍大尉として戦ひし日々が亡き兄の 人生の花どきなりしかと思ふ
傷一つ受けず帰還をしたる兄 なぜか戦地のことは話さざりき
二年目を迎へし介護保険の実情を 聞きつつ老いる侘しさつのる
移り来て他所者と言はれし四十年前 今よそ者は三百世帯
古葉刈りし南天の新芽出揃ひて 夕べの風に揺れ止まぬなり
大平の主住まざる家の庭 十二単の色冴えて咲く
木曽見茶屋の峠に立てば茂吉詠みし あららぎ村の霞みて見ゆる
撓むほど極まり咲きしミツバツツジ ほのかに揺らし風の過ぎゆく
亡き母のなししごとくに酸味帯びし 漬菜をいため味をともしむ
中学生等三位一体の人形使ひ 黒田人形の生き生きと見ゆ
しばらくを我儘許せと子等に言ひ 一人暮しの心を決める
石鉢の苔むす中に株植えし 岩檜葉の巻葉雨にほぐるる
年老いし木地師の廻すロクロより 飛び散る木屑香りを放つ
大正琴の友とり呉れし録音テープ 飼犬の声もリズムになるを聞く
店頭に山と積まれし紙襁褓 雨の日は気にせし亡き母を想ふ
自家用の野菜を作る気力 まだあるを喜び苦土石灰をまく
思ひ見ぬ学長賞を栄誉とし 孫は大学卒業となる