2017-07-01から1ヶ月間の記事一覧

竹取物語

くらもちの皇子と蓬莱の玉の枝 11 「あなたの名前は」と聞くと、「私 の名は、うかんるり」と答え、す っと消えてしまいました。 山をみると、登る手段がないほ どけわしい山でした。 山の側面を登っていくと、この世 の物とは思えないほど美しい花 の木が…

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くらもちの皇子と蓬莱の玉の枝 10 この山こそ、探している蓬莱山で はないかと思ったが、なぜか恐ろ しく感じました。 二・三日は、山のまわりを船でま わり、様子をうかがっていました。 すると・・・。 美しい天女がでてきて、銀の椀で 水をくんでいまし…

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くらもちの皇子と蓬莱の玉の枝 9 ある時には、方向がわからなくな り、遭難しそうになったことも。 食料がなくなってしまい、上陸し た島で、草の根を食べたこともあ りました。 おそろしい妖怪に食べられそうに なったことも。 貝を食べ、命をつないだこと…

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くらもちの皇子と蓬莱の玉の枝 8 おじいさんが、皇子に聞きました。 「この木は、どんな所にはえてい たのかね」と。 すると、皇子が話を始めました。 二年前の二月十日。 難波から船に乗り出発しました。 蓬莱山の方向がわからないので、 心細かったけれど…

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くらもちの皇子と蓬莱の玉の枝 7 すると、姫が。 「私は、じいのいうことを、ことわ ることができなかったので、くらも ちの皇子には、蓬莱の玉の枝を・・・ と、いいました。蓬莱の玉の枝な ど、たやすく持ってくることはで きないだろうと思ったのに、簡…

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くらもちの皇子と蓬莱の玉の枝 6 「くらもちの皇子は、姫が希望し た蓬莱の玉の枝を持ってきたの ですよ。姫、もう皇子の申し出を ことわることはできません。自宅 へも寄らず、旅の姿のまま、姫の 所へきたのです。皇子と結婚しな さい」 おじいさんがいい…

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くらもちの皇子と蓬莱の玉の枝 5 「くらもちの皇子が、旅から帰っ てきました」 召使いが告げたので、おじいさん が皇子に会いました。 「苦労して、玉の枝を持ってきま した。かぐや姫にみせてください」 おじいさんは、皇子が持ってきた 玉の枝と手紙を持…

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くらもちの皇子と蓬莱の玉の枝 4 おおぜいの人が、難波の浦へ、皇 子を迎えにきました。 皇子は、旅に疲れたという様子で、 ぐったり座っています。 皇子は、難波の浦での迎えがすむ と、玉の枝を立派な箱に入れ、お おいをかぶせて、都へ運びました。 そし…

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くらもちの皇子と蓬莱の玉の枝 3 そして、皇子も金工たちと一緒に、 その家に籠って、玉の枝の制作を 見守りました。 所領の荘園十六ヶ所をはじめ、全 財産を投じて、金工たちに玉の枝 を作らせたのです。 金工たちは、かぐや姫が希望した 通りに、根は銀・…

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くらもちの皇子と蓬莱の玉の枝 2 「くらもちの皇子は、こんなふう に、みんなに見送られて出発しま した」と、人々に信じさせたのです。 三日後。 皇子は人目につかないように、船 で帰宅しました。 帰宅した皇子は、計画通りに、当 時の一流の金工六人を集…

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くらもちの皇子と蓬莱の玉の枝 1 くらもちの皇子は、はかりごとに たけた人でした。 「体の具合が悪いので、筑紫の温 泉へ行き療養してきます」 そういって、朝廷から休暇をもら いました。 そして、かぐや姫には、「これか ら玉の枝をとりに行ってきます」…

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石作の皇子と仏の御石の鉢 4 皇子は、鉢を門口になげ捨て、そ れでもへこたれずに、かぐや姫に 返歌を詠みました。 白山にあへば光の失するかと はちを捨てても頼まるるかな かぐや姫はあきれてしまい、返歌 はしませんでした。 皇子は、弁解をしながら帰っ…

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石作の皇子と仏の御石の鉢 3 ひろげてみると、次のような歌が。 海山の道に心をつくしはて ないしのはちの涙ながれき かぐや姫は、「鉢に光があるかし ら」と、何度も鉢をみました。 でも、何の光もありません。 置く露の光をだにもやどさまし 小倉の山にて…

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石作の皇子と仏の御石の鉢 2 三年後。 皇子は、召し使いたちが探してき た鉢の中から、かぐや姫の所へ持 っていく鉢を選びました。 その鉢は、大和の国十市郡にある 山寺の、びんずるの前にあった鉢 でした。 皇子は、その鉢に、たっぷり煤墨 を塗り、錦の…

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石作の皇子と仏の御石の鉢 1 石作の皇子は、「天竺に一つしか ないという鉢を探しに行っても、 どうせ見つけることはできないだ ろう」と思いました。 そこで、皇子は、かぐや姫の家に は、「今日、天竺へ石の鉢をみつ けに行ってきます」と、使者に知 らせ…

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五人の求婚者への難題 4 おじいさんは、「娘がこのように いっております。娘のいう品を持 ってきてみせてください」と、五人 に伝えました。 五人は、かぐや姫の希望する品 を聞き、うんざりした様子で帰っ て行きました。 しかし、かぐや姫と結婚できなか…

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五人の求婚者への難題 3 安倍御主人には、「唐土にあると いう火鼠の皮衣を」。 大伴の大納言には、「龍の頸に、 五色に光る玉がついている。その 玉を」と。 石上の中納言には、安産のお守り だといわれている「つばめが持っ ている子安貝」をと。 「姫。…

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五人の求婚者への難題 2 「それで、結構だ」 五人が、口々にいいました。 おじいさんは、かぐや姫に、男た ちのことばを伝えました。 かぐや姫は、五人に、見せてほし い品をいいました。 石作(いしづくり)の皇子には、 「お釈迦様がつかったという仏の …

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五人の求婚者への難題 1 日が暮れる頃、いつもの五人がや ってきました。 ある者は笛を吹き、ある者は大き な声で歌を歌い、ある者は楽譜の 旋律を口ずさんでいます。 また、ある者は口笛を吹き、ある 者は扇をたたき拍子をとり、外で さわいでいます。 お…

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貴公子たちの求婚 9 「姫は、どんな人と結婚したいと 思っているのかね。あの五人は、立 派な志をもったかただと思うが」 「あの五人は、どれほど深い愛情 を、私に持っているのでしょう。 五人の愛情は、同じ程度だと思い ます。このままでは、どの人がい …

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貴公子たちの求婚 8 「じい、なぜ結婚しなくてはなら ないのですか」 「姫は、女だから。じいが生きて いる間は、生活にも困らないから、 一人でいられるだろう。でも、じ いが死んでしまったら、生活に困 る。今も、五人が、姫に会いたい といって毎日きて…

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貴公子たちの求婚 7 すると、姫が。 「じいや。何をいうのですか。じ いのいうことは、何でも聞いてい るではありませんか。私は、じい のことを、ほんとうの親だと思っ ていますよ」 「姫。うれしいことをいってくれ るね。じいは、今年七十になった。 い…

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貴公子たちの求婚 6 月日がどんどんすぎていきます。 五人は、家に帰っても、物思いに ふけり、かぐや姫への思いを絶ち 切ることができません。 五人は、「そうはいっても、最後 にはかぐや姫に会えるだろう」と、 期待していたのです。 そして、かぐや姫に…

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貴公子たちの求婚 5 十二月になり雪が降っても、真夏 の暑い日にも、雷が鳴り響く時に も、五人は毎日かぐや姫の家へや ってきました。 そして、おじいさんを呼び出し、 「かぐや姫と結婚させてください」 と、お願いしました。 「かぐや姫は、わしら夫婦の…

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貴公子たちの求婚 4 この五人は、どんな手をつかって も、かぐや姫をみたいと思う気持 が強かったのです。 ろくに食事もしないで、かぐや姫 の家へやってきて、家の前に立っ たり、家のまわりをぐるぐる歩き まわったりしました。 でも、かぐや姫をみること…

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貴公子たちの求婚 3 男たちの中で、かぐや姫の家に居 続けたのは、五人。 五人は、かぐや姫への思いが消え ることなく、昼となく夜となく、かぐや 姫の家へやってきました。 五人の男とは、石作の皇子・くら もちの皇子・右大臣安倍御主人 (あべみぬし)・…

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貴公子たちの求婚 2 召使いたちに、「せめて伝言を」 とお願いするのですが、誰も相手 にしてくれません。 かぐや姫の家の前から離れようと しない男たちは、昼も夜も一日中、 かぐや姫の家のまわりで過ごしま した。 しばらくすると、多くの男たちは、 用…

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貴公子たちの求婚 1 美しいかぐや姫の評判を聞き、朝 廷に仕えている男たちは、身分の 高い人も低い人も、なんとかして、 かぐや姫をひとめみたいものだと 思いました。 見たこともないかぐや姫を恋い慕 い、おおぜいの男たちが心を乱し ていたのです。 か…

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竹取物語 6 女の子が大きくなったので、御室 戸斎部の秋田を招き、名前をつけ てもらうことにしました。 女の子の名前は、「なよ竹のかぐ や姫」と決まりました。 かぐや姫の命名式を祝って、三日 間、歌を歌ったり、舞を舞ったり、 琴などを演奏しました。…

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竹取物語 5 そして、女の子を部屋から一歩も 出さず、宝物のように大切に育て ました。 女の子は、この世の人とは思えな いほどの美しさでした。 女の子の部屋も、満月に照らされ たかのように光輝いています。 おじいさんは、苦しいことがあっ ても、腹立…