2009-01-01から1年間の記事一覧

開善寺の早梅の精

開善寺の早梅の精7 「すてきな歌ですね。 ところで、あなたの名前は?」 「梅香といいます」 「梅香さんですか。あなたは、こ の梅のように美しい」 「美しいだなんて・・・。 あなたの名前は?」 「わしの名前は、埴科文次。侍じゃ」 「文次さんですか。文…

開善寺の早梅の精

開善寺の早梅の精6 文次は、即興で歌をよみました。 響き行く鐘の声さへ匂ふらむ 梅咲く寺の入り相の空 「この寺では、鐘の音までも、梅 の香りに満ちている」、こんな意 味の歌でした。 すると、女の人は軽くおじきをし、 歌を返してきました。 眺むれば知…

りゅうのひみつ日記

12月28日 よんだ[童話]竜神になった三郎を読んだよ 三郎は帰るんだよ おしまい 竜神になった三郎22 http://d.hatena.ne.jp/youko510/20091228#p1 竜神なった三郎23 http://d.hatena.ne.jp/youko510/20091229#p1 初めて読んでくださったかたへ 竜神に…

開善寺の早梅の精

開善寺の早梅の精5 女の人は、いつここへきたのでしょ うか。 年のころは、二十才。 いや、もっと若いかもしれません。 清楚な、上品な人でした。 女の人は、紅色の着物の上に、白い 上衣をきています。 「なんて美しい人だろう。梅の精み たいなひとだ」 …

りゅうのひみつ日記

12月27日 よんだ[童話]竜神になった三郎を読んだ 三郎を探すのかー おしまい 竜神になった三郎22 http://d.hatena.ne.jp/youko510/20091228#p1 初めて読んでくださったかたへ 竜神になった三郎1 http://d.hatena.ne.jp/youko510/20091207#p1 童話「竜…

開善寺の早梅の精

開善寺の早梅の精4 開善寺へ着くと、うわさ通り、梅 の花が咲いていました。 雪のように白い、美しい花でした。 あたり一面、梅の花のいい香りが しています。 文次はうっとりしながら、梅の花 をながめていました。 そして、心にうかんだ歌をよみま した。…

りゅうのひみつ日記

12月27日 かんそう[童話]竜神になった三郎を読んだよ 竜神になるんだよ おしまい 竜神になった三郎21 http://d.hatena.ne.jp/youko510/20091227#p1 初めて読んでくださったかたへ 竜神になった三郎1 http://d.hatena.ne.jp/youko510/20091207#p1 童話…

開善寺の早梅の精

開善寺の早梅の精3 寒さが厳しい暮れのある日。 「開善寺の梅が、もう咲いたそうだ」 「えっ、こんなに寒いのに、梅が?」 「開善寺の梅は、冬至のころには、 花が咲くそうじゃ。 後醍醐天皇によって、信濃梅と名づ けられた梅の花は、美しい。 香りも絶品…

開善寺の早梅の精

開善寺の早梅の精2 今からおよそ四百六十年前。 甲斐の武田が、信濃にせめてきま した。 そして、村上と戦になりました。 村上頼平の家臣に、和歌をよむ風 流な男がいます。 男の名は、埴科文次。 文次は、戦の最中でも、心に残る 情景があると、それを歌に…

開善寺の早梅の精

開善寺の早梅の精1 信州の伊那谷に、梅・ぼたん・藤 など、美しい花が咲く禅寺があり ました。 寺の名は、開善寺。 室町初期に建立された山門や、鎌 倉式のみごとな庭園もあります。 開善寺は、建武二年(1335年)、 信濃の守護・小笠原貞宗が、京都 の…

女神さまとの約束

「女神さまとの約束」は、みほようこ の五冊目の童話集「竜の姿をみた少女」 に収録されています。 童話集「竜の姿をみた少女」は、今年 12月12日に「鳥影社」から発行さ れました。 ビーケーワン・アマゾン・楽天・紀伊 国屋書店・ジュンク堂などで発売…

童話集「竜の姿をみた少女

12月16日、「鳥影社」から、 みほようこの五冊目の童話集 「竜の姿をみた少女」が、発売さ れました。 ビーケーワン・アマゾン・楽天・ 紀伊国屋書店・ジュンク堂などで、 本を発売中。 童話集「竜の姿をみた少女」は、 信州の「しらかば湖」と「白駒の …

笛の音よ、永久にひびけ

笛の音よ、永久にひびけ17 こうして、切りたおされた楓の木 は、一人の若者によって、コカリ ナとよばれるすてきな笛に生まれ かわりました。 若者は、村の人々が帰った後も、 いつまでもいつまでも笛をふきつ づけました。 笛の音は、遠くふもとの村まで…

笛の音よ、永久にひびけ

笛の音よ、永久にひびけ16 半年がすぎました。 ある日、やっと気にいった音色の する笛ができました。 「やっと、清らかな音色のする笛 ができたぞ!」 若者は、とびあがってよろこびま した。 一カ月後。 若者は、楓の木が立っていた丘の 上で、コンサート…

笛の音よ、永久にひびけ

笛の音よ、永久にひびけ15 若者と村の人たちは、何本も何本 も、笛を作りつづけました。 しかし、澄んだ音色のする笛はで きませんでした。 「楓の木では、だめなのかもしれ ない。あきらめるよりしかたがな いのか」 若者は、弱気になりました。 「楓のた…

笛の音よ、永久にひびけ

笛の音よ、永久にひびけ14 「一日も早く、すてきな音色のす る笛ができると良いね」 「楓の笛って、どんな音色がする のだろう」 こどもたちも、笛ができあがるの を楽しみにしています。 村の人たちも、若者に協力して、 笛を作ることになりました。 若者…

笛の音よ、永久にひびけ

笛の音よ、永久にひびけ13 切りたおされた木の中でも、楓の 木はみごとでした。 「なんて大きな楓の木だろう。 せめて楓の木だけでも、なんとか 生かしてあげたいものだ。 そうだ。楓の木で笛を作ったらど うだろう。 きっとすばらしい笛ができるにち がい…

りゅうのひみつ日記

12月16日 よんだ[童話]竜神になった三郎を読んだ 妻を迎えるんだよ おしまい りゅう、三郎はね、とてもすてき な妻を迎えるんだよ。 竜神になった三郎 http://d.hatena.ne.jp/youko510/20091216#p1 初めて読んでくださったかたへ 竜神になった三郎1 htt…

笛の音よ、永久にひびけ

笛の音よ、永久にひびけ12 「山が丸裸になれば、ふもとの村 や町に住んでいる人間たちは、美 味しい水を飲むこともできなくな るだろう。 海や川にすんでいる魚や貝たちも こまるだろうね」 「森の動物たちは、これからどこ で暮らすのだろうか。 森の仲間…

童話集「竜の姿をみた少女」が、「鳥影社」より発売されました。

12月15日、オンライン書店 「ビーケーワン」で、みほようこの 五冊目の童話集・「竜の姿をみた少 女」が、発売になりました。 12月16日、アマゾン・楽天・ 紀伊国屋書店・ジュンク堂などでも、 「竜の姿をみた少女」が発売になり ました。 童話集「…

冬桜

「花のほほえみ」より 冬桜

笛の音よ、永久にひびけ

笛の音よ、永久にひびけ11 気がついた時には、楓は一メート ルくらいの長さに切られていました。 そして、他の木と一緒に、高原の ふもとへ運ばれました。 たくさんの木だったので、森の木 はそのまま何ヶ月も積まれたまま でした。 雨が降ったり、風が吹…

りゅうのひみつ日記

12月13日 かんそう[童話]竜神になった三郎を読んだ 竜神になるのかー おしまい 竜神になった三郎7 http://d.hatena.ne.jp/youko510/20091213#p1 初めて読んでくださったかたへ 竜神になった三郎1 http://d.hatena.ne.jp/youko510/20091207#p1 童話「竜…

笛の音よ、永久にひびけ

笛の音よ、永久にひびけ10 「チェーーン」 「チェーーン」 チェーンソーの音でしょうか。 高い音が聞こえたかと思うと、あっ という間に、森の木が次々に切り たおされていきます。 かえでが驚いてみていると、森の 木がみんな横たおしになってしま いまし…

まさきの実

「花のほほえみ」より まさきの実

笛の音よ、永久にひびけ

笛の音よ、永久にひびけ9 二ヶ月が過ぎました。 かえでは、最後のはっぱを、たく さんつけることができました。 「最後のはっぱを、つけることが できたぞー」 かえでは、大声でさけびました。 そして、大きな体を、ゆっさゆっ さとゆらしました。 「さわ、…

童話集「竜の姿をみた少女」あとがき

童話集「竜の姿をみた少女」あとがき 「風の神様からのおくりものシリー ズ」も、今回で五冊目になりました。 このシリーズは、信州諏訪の「風の 神様」から聞いた話をまとめたもの。 今日は、信州の二つの湖を訪ねた時 に、「風の神様」から聞いた話を、紹 …

冬桜

「花のほほえみ」より 冬桜

笛の音よ、永久にひびけ

笛の音よ、永久にひびけ8 「今年は、葉をつけることができ ないかもしれんのぅ。 いつ切りたおされるのだろうか」 かえでは、不安な気持で毎日を過 ごしました。 「かえでのおじさん、この森の木 が、みんな切られてしまうって、ほ んとう?」 リスとかもし…

まさきの実

「花のほほえみ」より まさきの実