2018-12-01から1ヶ月間の記事一覧

女神さまからのおくりもの

[童話]女神さまからのおくりもの 女神さまからのおくりもの 92 第五章 それぞれの思い 10 しかし、清太は、きっぱりいいました。 「はい。私は、おじょうさまのことが大好き です」と。 「清太。おまえは、この家の使用人だという ことを忘れたのか」 吉…

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[童話]女神さまからのおくりもの 女神さまからのおくりもの 91 第五章 それぞれの思い 9 吉衛門は、どう聞いたらいいのかわからず、 口ごもってしまいました。 「おじょうさまのことなど、なんとも思っ ていません」 清太がそういってくれるのを、吉衛門…

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[童話]女神さまからのおくりもの 女神さまからのおくりもの 90 第五章 それぞれの思い 8 「おらに聞きたいことって、何だろう」 清太は、吉衛門の部屋へいそぎました。 「何かご用でしょうか」 「清太。そこへおすわり」 「はい」 清太は、何をいわれるの…

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[童話]女神さまからのおくりもの 女神さまからのおくりもの 89 第五章 それぞれの思い 7 でも、きよには、同じような環境で育った 青年と結婚してほしいと思いました。 それは、吉衛門の親心でした。 「それはそうと、清太はきよのことをどう 思っている…

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[童話]女神さまからのおくりもの 女神さまからのおくりもの 88 第五章 それぞれの思い 6 「私は、本人がしっかりしていれば、育った 環境など気にしなくてもいいと思うけれど」 「きよ。そうはいかない。とうちゃんのわが ままだということは、よくわかっ…

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[童話]女神さまからのおくりもの 女神さまからのおくりもの 87 第五章 それぞれの思い 5 「とうちゃんは家柄が大事だというけれど、 私は庄屋の娘として生まれ、清太さんは貧 しい家に生まれたというだけのことではな いかしら。もし私が貧しい家の娘だっ…

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[童話]女神さまからのおくりもの 女神さまからのおくりもの 86 第五章 それぞれの思い 4 吉衛門は、二人が親しくしていることは知って いました。 でも、清太と結婚したいと思っているとは、夢 にも思っていませんでした。 「とうちゃんは、いつも清太さ…

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[童話]女神さまからのおくりもの 女神さまからのおくりもの 85 第五章 それぞれの思い 3 「きよ。清太は、わが家の使用人なのだよ」 「とうちゃん。なぜ、清太さんを好きにな ってはいけないの。私、清太さんが大好き。 いつか、清太さんと結婚できたらい…

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[童話]女神さまからのおくりもの 女神さまからのおくりもの 84 第五章 それぞれの思い 2 「たしかに、次郎にはそういう所がある。 庄屋の仕事は、大変だ。村の人たちの先 頭にたってやっていかなくてはならない からね。わが家の仕事を安心して手伝っ て…

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[童話]女神さまからのおくりもの 女神さまからのおくりもの 83 第五章 それぞれの思い 1 八月のある日。 「きよ、ちょっと」 「とうちゃん。なに」 「きよは、いとこの次郎のことを、どう 思っているんだい」 「次郎さんは、やさしい人だわ。でも、私 は…

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[童話]女神さまからのおくりもの 女神さまからのおくりもの 82 ゆうすげの花咲く高原で 33 「とうちゃん。ただいま」 「ただいまもどりました。おそくなって すみません」 「おかえり。遅いからどうしたのかと心 配していたのだよ」 吉衛門が、ほっとし…

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[童話]女神さまからのおくりもの 女神さまからのおくりもの 81 ゆうすげの花咲く高原で 32 「きよちゃん。家に帰ろう。庄屋さま が心配しているといけないから」 「そうね。帰りましょう。今夜は、ゆ うすげの花をみることができて、うれ しかったわ。清…

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[童話]女神さまからのおくりもの 女神さまからのおくりもの 80 ゆうすげの花咲く高原で 31 おらは、世話になっている庄屋さま に、遠慮をしているのかもしれない。 心からきよちゃんが好きなら、誰に も遠慮することなどないのに。 こんな心の声も聞こえ…

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[童話]女神さまからのおくりもの 女神さまからのおくりもの 79 ゆうすげの花咲く高原で 30 「清太。おまえは、きよをあきらめ ることができるのか」 どこからか、声が聞こえてきました。 清太は、はっとしました。 でも、清太は、自分の気持をきよに 伝…

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[童話]女神さまからのおくりもの 女神さまからのおくりもの 78 ゆうすげの花咲く高原で 29 「最後の花びらが開くわ」 きよが、笑顔でいいました。 夕やみの中で、ゆうすげの花だけが、 くっきりうかびあがってみえます。 「ゆうすげの花って、すてきね」…

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[童話]女神さまからのおくりもの 女神さまからのおくりもの 77 ゆうすげの花咲く高原で 28 「きよちゃん。もう少しで、ゆうす げの花が咲くよ」 重苦しい空気をかえようと、清太が 明るい声でいいました。 一枚目の花びらが、ゆっくり開いて いきます。 …

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[童話]女神さまからのおくりもの 女神さまからのおくりもの 76 ゆうすげの花咲く高原で 27 一方、きよも、「私は、清太さんが 大好き。清太さんは、私のことをど う思っているのかしら」と、心の中 で問いかけていたのです。 どのくらいの時間がすぎたの…

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[童話]女神さまからのおくりもの 女神さまからのおくりもの 75 ゆうすげの花咲く高原で 26 それに・・・第一、家柄がちがいす ぎる。 清太の心は、ゆれました。 「おらは、きよちゃんが大好きだ」 こういえたらどんなにいいだろうと、 清太は思いました…

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[童話]女神さまからのおくりもの 女神さまからのおくりもの 74 ゆうすげの花咲く高原で 25 「おらは、きよちゃんが大好きだ。 次郎さんにも、誰にも、きよちゃん を渡したくない。きよちゃんは、お らのものだ」 清太は、心の中で強くさけびました。 お…

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[童話]女神さまからのおくりもの 女神さまからのおくりもの 73 ゆうすげの花咲く高原で 24 「・・・・・」 「私、次郎さんと結婚したくない。 次郎さんがわが家をついでくれるな ら、私はよそへとついでもいいと思 っている」 清太は、なにもいえず、きよ…

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[童話]女神さまからのおくりもの 女神さまからのおくりもの 72 ゆうすげの花咲く高原で 23 すると、 「清太さんは、私の結婚相手は、家 柄がよくて、お金もちなら、それで いいの?」 いつもおだやかなきよが、強い口調 でいいました。 こんなきよをみた…

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[童話]女神さまからのおくりもの 女神さまからのおくりもの 71 ゆうすげの花咲く高原で 22 「次郎さんは、やさしい人だわ。でも ・・・人のいうままなの。わが家へき ても、次郎さんはとうちゃんのいうま まだと思う。私、人のいいなりになっ ている次郎…

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[童話]女神さまからのおくりもの 女神さまからのおくりもの 70 ゆうすげの花咲く高原で 21 二人は、たわいない話をしながら、む すびを食べました。 幸せなひとときでした。 しばらくして、きよが改まった口調で いいました。 「清太さん。今、縁談の話…

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[童話]女神さまからのおくりもの 女神さまからのおくりもの 69 ゆうすげの花咲く高原で 20 「私、清太さんのために、心をこめて にぎったのよ」 「だから、おいしいんだね。おれ、白 米のおにぎりなんて、初めて食べた」 「わが家でも、白米は特別な日し…

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[童話]女神さまからのおくりもの 女神さまからのおくりもの 68 ゆうすげの花咲く高原で 19 「ゆうすげって、日光きすげのように、 群落にはならないのかしら」 「そういえば、あっちに一本、こっち に一本という感じだね。じゃあ、ここ で、暗くなるのを…

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[童話]女神さまからのおくりもの 女神さまからのおくりもの 67 ゆうすげの花咲く高原で 18 二人は、白駒の背にのり、ゆうすげが 咲いている場所へ走って行きました。 「きよちゃん、ここだよ」 「あら? まだつぼみがかたいのね。 「今夜、花が咲くかし…

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[童話]女神さまからのおくりもの 女神さまからのおくりもの 66 ゆうすげの花咲く高原で 17 「そんなことがあったのね。私、何も 知らなかったわ」 「おらは、最初から白駒ってふしぎな 馬だなと思っていたよ」 清太は、長い間気にしていたことをき よに…

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[童話]女神さまからのおくりもの 女神さまからのおくりもの 65 ゆうすげの花咲く高原で 16 おらは、必死で白駒をさがしてあるいた。 四時間後、白駒は何くわぬ顔で戻ってき た。庄屋さまのじまんの馬が、このまま 帰ってこなかったらどうしようと、心配 …

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[童話]女神さまからのおくりもの 女神さまからのおくりもの 64 第四章 ゆうすげの花咲く高原で 15 「清太さん。何でも話して。かくし ごとはいやよ」 「白駒。きよちゃんに、あの話をし てもいいかな」 「話してもいいよ」というように、 白駒は「ひひー…

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[童話]女神さまからのおくりもの 女神さまからのおくりもの 63 第四章 ゆうすげの花咲く高原で 14 近くに家が一軒もなかったので、 とうちゃんはその馬を家につれ てきたの。生まれたばかりのか わいい馬だったわ。そんなわけ で、どこの馬かわからない…