虫のしらせ


「虫のしらせ」ということばを聞いたこと
があると思います。 



私も63年間生きてきましたので、ふしぎ
な体験を、何度もしました。
「虫のしらせ」だったのでしょうね。



(その1)


おじいちゃんがなくなったのは、昭和45
年8月20日。
その日は、とても暑い日でした。



「ことっ」
床の間で、誰か石をなげたような音がしま
した。
「石をなげたのは誰だ!!」
近所のいたずら坊主が、石をなげたのかな
と思い、私はいそいで窓をあけ外をみました。
でも、外には誰もいません。
「おじいちゃんの病状が、急変したのかな」
そう思った私。



その数分後。
母から電話がありました。
「今、おじいちゃんがなくなったよ」と。




おじいちゃんは、幼い時からかわいがっていた
私の所へ「これからあの世へ旅立つよ。元気で
暮らしておくれ」と、お別れにきたのでしょうね。



(その2)


大好きだった父が、心筋梗塞で倒れた日。


私は、花の講習会に出席していた。
ところが、急に左胸が痛くなった。
そして、油汗がたらたら・・・。
でも、二分位でけろりとなおった。



後で知ったことだが、その時間は父が心筋
梗塞で倒れた時間だったという。
その日、母は妹の出産のため病院へ行って
おり、家では父が一人で留守番していた。
父は近所の人に助けをもとめ、救急車で病院
へ運ばれた。



そして、次の日の夜、父はなくなった。




(その3)


義父がなくなる前日。
義父のことを心配しながら、
夫とともに病院から帰宅した。



夜、家計簿をつけようと思い、電算機を使
った。 しかし、何度数字を入れても、変
な数字が画面いっぱいに表示される。
「なんだ、この数字は???」



寝る前に、神様に「義父のことをしっかり
守っていただきたい」とお願いした。



すると・・・。
あわせた手の中から、白い煙みたいなもの
が、どんどんでてくる。
「何だ、この煙は???」



次の朝、義父はなくなった・・・。
あの煙は、「これからあの世へ旅立つよ。
お世話になったね」という義父からの知ら
せだったのだなと思った。




(その4)


三年前、私は横断歩道を歩いていて、速度
違反・わきみ運転の車にはねられ、怪我を
した。




その怪我をする二年前。
私は夢をみた。
なくなった父が、車の前に立ち、車を一生
懸命止めている。 そして、車のまわりは
血・・・。




そんな夢をみた私は、車には十分注意して
いた。 運転をする時はもちろんだが、横
断歩道を渡る時も、何度も何度も確かめて
からわたるようにしていた。




それなのに・・・。
事故はおこった。
植物人間にならなかっただけでも、幸せと
思わなくては・・・。
三年たった今も、肩や足が痛い。




父が生きていたら、いうだろう。
「夢で知らせてあげたのに、なぜ車にひかれ
てしまったの・・・」と。




・・・こんな体験は数多い。
虫のしらせは、誰にでもあるだろう。
しかし、そのしらせを感じられる人は少ない
のかもしれない。