女神さまとの約束


   女神さまとの約束 5



福と白駒は、再び黄金色の花をさがし
て歩きました。
今度は、馬からおりて、岩の裏までて
いねいにさがしました。
それでも、黄金色の花はみつかりません。




あきらめて帰ろうとした時、硫黄岳の
けわしい岩場の方から、かいだことの
ないにおいがしてきました。
ふくは、そのにおいのする方へ歩いて
行きました。
大きな岩と岩の間に、さがしていた黄
金色の花が咲いていました。
十センチくらいの大きさの美しい花で
した。その花は、太陽にあたり、ぴか
っぴかっと光っています。




「あっ、黄金色の花!!」
福は、大声でさけびました。
黄金色の花は、岩と岩との間にできた
小さな水たまりの中に咲いていました。
「これが、黄金色の花なのね。なんて
美しい花かしら」
福は、花にそっとさわりました。




すると・・・。
どこからか、やさしい声が聞こえてき
ました。
「福、やっと黄金色の花をみつけたのね。
その花は、私からのおくりものです。
おとうさんをこの場所へつれてきて、
黄金色の花びらで、おとうさんの体を
やさしくさすってあげなさい。そうすれ
ば、おとうさんはすぐに元気になれるで
しょう。
おとうさんが元気になっても、あなたは
ここへとどまって、病気で苦しんでいる
人をすくってくださいね。
けっして、この場所をはなれてはいけま
せんよ。おとうさんのことは、私が守り
ます。
わかりましたか、福。私との約束を、ち
ゃんと守れますか」
女神さまの声でした。



「はい、わかりました。女神さまとの約
束は、ちゃんと守ります」
福は、そう答えました。
白駒も、うれしそうに「ひひーん」とな
いています。
水たまりの中に手をいれてみると、なんと
あたたかな湯でした。
黄金色の花は、湯の中に咲いている花だっ
たのです。




岩場から、湯がどんどんでてきます。そし
て、大きな湯の池ができました。
福と白駒は、湯の中に手と足をひたしました。
福は黄金色の花びらを一枚とると、手と足
をさすってみました。
すると、疲れがいっぺんにとれました。
白駒の体を花びらでさすってあげると、白駒
もたちまち元気になりました。
「さあ、白駒。家にもどって、とうちゃんを
ここへつれてきてください。おねがいします」
福は、白駒にお願いしました。


      つづく