硫黄岳に咲いた黄金色の花

昨日につづき、「硫黄岳に咲いた黄金色の花」
を紹介します。


「硫黄岳に咲いた黄金色の花3」



「とうちゃん。まっていてね。黄金色の花を
探してくるから」
ふくは、長者にいいました。
「あなたの名前は、なんていうの」
ふくは、白い馬にたずねました。
「私の名前は、白駒。あなたと一緒に、黄金色
の花をさがすようにと、女神さまからいわれま
した」
「白駒というのね。私と一緒に黄金色の花をさ
がしてくださいね。おねがいします」
ふくは、白駒にお願いしました。
そして、白駒の背にとびのりました。



白駒は、「ひひーん」と一声なくと、すごいい
きおいで走りだしました。
その早いことといったら。
あっという間に、八ヶ岳につきました。



天狗岳
根石岳
硫黄岳
横岳
赤岳
権現岳
西岳・・・と、ふくと白駒は、あっちの山、こ
っちの山と、八ヶ岳の山々をくまなく走り、黄
金色の花をさがしました。
でも、黄金色の花はみつかりません。
ふくも白駒も、へとへとに疲れてしまいました。
ふくと白駒は、けわしい山中を、とぼとぼと歩
きました。



「なんとしても、黄金色の花をみつけたい」
そう思ったふくは、もう一度、黄金色の花をさ
がしはじめました。
今度は、馬からおりて、岩の裏までていねいに
さがしました。
それでも、黄金色の花はみつかりませんでした。



硫黄岳に近づいた時、みょうなにおいがしてき
ました。ふくは、馬からおり、においのするへ
歩いて行きます。
すると・・・。
大きな岩と岩の間に、黄金色の花が咲いていま
した。三十センチくらいの大きな黄金色の花で
した。その花は、太陽にあたり、ぴかっぴかっ
と光っています。



「わぁー、黄金色の花だ」
ふくは、大声でさけびました。
黄金色の花は、岩と岩との間にたまった水の中
に咲いています。
「これが、黄金色の花なのね。なんて美しい花
かしら」
ふくは、黄金色の花にそっとさわりました。



「ふくよ、やっと黄金色の花をみつけたのですね。
おとうさんをこの場所へつれてきて、黄金色の花
びらで、おとうさんの体をやさしくさすってあげ
なさい。そうすれば、おとうさんはじき元気にな
るでしょう。ふくよ、この場所をはなれてはいけ
ないという約束は、ちゃんと守るのですよ。
わかりましたか、ふく」
どこからか、やさしい声が聞こえてきました。
白駒も、「ひひーん」と、うれしそうにないてい
ます。

 
        つづく