稲のしずく

初めてのかたは、「稲のしずく1」を読んで
くださいね。


     「稲のしずく1」

http://d.hatena.ne.jp/dowakan/20060214


    

     「稲のしずく2」


「早くそうなるといいね」
そんな話をしているうちに、目的のたんぼへつ
きました。
でも、稲の葉には、まだしずくがついていませ
んでした。
「校長先生、まだ稲の葉にしずくがついていな
いよ」
「じきにつくだろう。そこでみていてごらん」



すると・・・。
「あっ、こんなところに小さなしずくがついて
いる」
「どれどれ。おっ、本当に小さなしずくだね」
二人がみていると、稲の葉についたしずくは、
だんだんに大きくなってきました。
最初は一ミリくらいだったしずくが、大きなも
のは四ミリくらいの大きさになりました。
「あっ、ここにも、あそこにも、しずくがつい
ている」
かなは、大はしゃぎ。



よくみると、右側のたんぼの稲の葉にしか、し
ずくがついていませんでした。
「ふしぎだな。なぜだろう?」
「ねっ、右側の稲の葉にしか、しずくがついて
いないでしょ」
「ほんとだね」
校長先生は、ふしぎに思いました。
りゅうは、稲の葉についたしずくを、ぺろぺろ
となめています。



「かな、わたしがあげた桜の鈴を、今もってい
るかい」
「持っているわ。私、外へでかける時は、いつ
も桜の鈴をもってでかけるの。校長先生からい
ただいた大切な鈴ですもの」
そういいながら、かなは守り袋の中から、桜の
鈴をとりだしました。



「じゃあ、かな。鈴を静かに七回ふってごらん」
かなは、静かに桜の鈴をふりました。
「リーン・リーン・リーン・・・」
鈴虫が鳴いているような、美しい音色があたり
にひびきわたりました。
「稲さん、こんばんは。なぜ右側のたんぼの稲
の葉にしか、しずくがついていないのですか」
かなは、稲にやさしくたずねました。
でも、稲は何も答えません。
かなは、何度も何度も鈴をふり、稲にたずねま
した。
しかし、稲は何も答えませんでした。



「かな。その鈴を、私にかしてごらん。今度は
私がやってみるから」
校長先生は、鈴を受け取ると、鈴をやさしくな
でました。そして、静かに鈴を七回ふりました。
すると・・・。
稲がぽつりぽつりと話しはじめました。


       つづく