黄金色のまゆ玉


星のきれいな夜でした。

みしっ。
ぱりっ。
バリバリッ。
ばしゃっ。



諏訪湖の方から、大きな音が聞こえてきました。
「何の音だろう?」
「氷が割れるような音だが」
「誰か湖におちたのだろうか」
湖の近くの人々は、何事かとおどろき、外へと
びだしました。



みると、氷の上を、誰か歩いています。 
「氷の上を歩いている人は、誰だろう?」
「暗くて、誰だかわからんわ」
「歩いているのだから、湖へ落ちたわけでもあ
るまい」
「まったく、人さわがせな人だのぅ」
「おお、寒いっ」
そういいながら、人々は家の中へ入っていきま
した。



次の朝。
「なんだ、これは・・・?」
「すごい割れ目だね」
湖をみた人々は、びっくり。
湖の氷が割れていたのです。そして、その氷が
せりあがり、いくえにもかさなりあっていました。
大きな山は、人の背丈ほど。小さな山でも、三十
センチくらい。
湖の上には、でこぼこした長い氷の山ができてい
たのです。
大きな竜が、湖をのたうちまわっているようにみ
えました。



よくみると、その氷の割れ目は、明神さまが住ん
でいる神社の近くから、湖の向こう側まで続いて
いました。
「昨夜、氷の上を歩いていた人は、明神さまだっ
たのだろうか?」
「まさか・・・?」
「真夜中、明神さまはどこへ行ったのだろう」
「今夜、そっと明神さまの後をつけてみようか」
「おお、それがいい。それがいい」
勇気のある足の早い青年が、何人かで明神さま
の後をつけることにしました。


 
その日の夜。
青年たちは物陰にかくれて、明神さまがでてくる
のをじっと待っていました。
すると・・・。


          つづく



私は、童話「風の神様からのおくりもの」の中で
も、風の神様が大切にしている「黄金色のまゆ玉」
のことを書きました。



童話「風の神様からのおくりもの」は、みほようこ
の初めての童話集・「風の神様からのおくりもの」
に収録されています。


童話「風の神様からのおくりもの」

http://www.geocities.jp/dowakan/kazenokami1.html




風の神様からのおくりもの―諏訪の童話

風の神様からのおくりもの―諏訪の童話