黄金色のまゆ玉

昨日につづき、童話「黄金色のまゆ玉」を、紹介
します。初めてのかたは、20日・21日の日記
を読んでくださいね。


   黄金色のまゆ玉 1

http://d.hatena.ne.jp/dowakan/20060220


   黄金色のまゆ玉 2

http://d.hatena.ne.jp/dowakan/20060221



   黄金色のまゆ玉 3


「そうだ、今度は湖の向こう側へ先まわりして待
っていたら、どうだろう」
「おお、そうすれば、うまくいくかもしれないぞ」
青年たちは、湖の向こう側へ先まわりして、明神
さまを待つことにしました。
でも、明神さまの行き先をつきとめることはでき
ませんでした。



そんなある日。
「明神さま、この頃奥さんの顔をみかけないけれ
ど、奥さんは元気かのぅ」
「ああ。元気じゃよ。妻は用事があって、里へ帰
ったのじゃ」
「それにしては、長いのぅ。奥さんどうかしたの
かね」
「どうもしないよ。今に帰ってくるじゃろ」
人々が奥さんのことをたずねると、明神さまはな
ぜか困ったような顔をしました。



「明神さまと奥さま、けんかしたのではないかし
ら。そして、奥さんが家をでていってしまったの
かもしれないよ」
「まさか・・・。あんなに仲のいい夫婦ですもの、
けんかなんかしないでしょ」
「夫婦ですもの、けんかくらいするわよ。だから、
明神さまは奥さんのことが心配で、真夜中にそっ
と様子をみにいくのではないかしら」
「そうかもしれないね」
そういって、人々は奥さんのことを心配しました。


 
それにしても、明神さまは、真夜中どこへ行くの
でしょうか。
一ヶ月前、明神さまは、ささいなことで奥さん
けんかをしてしまいました。仲のいい夫婦にはめ
ずらしいことでした。
そして、奥さんがやしきをでていってしまったの
です。明神さまは奥さんがでていってしまったこ
とを、みんなにないしょにしていました。
そのため、みんなが寝静まったころ、そっと奥さ
んに会いに行っていたのです。



では、二人のけんかの原因は、何だったのでしょ
うか。
けんかの原因は、明神さまが大切にしている黄金
色のまゆ玉でした。



明神さまには、やさかとめのみことという、美し
奥さんがいます。明神さまは、心のやさしい、
働き者の奥さんがじまんでした。
二人は、人がうらやむほど、仲のいい夫婦でした。
明神さまと奥さんは、守屋山で蚕をかっていました。


         つづく



私は、童話「風の神様からのおくりもの」の中で、
風の神様が大切にしている「黄金色のまゆ玉」の
ことを書きました。



童話「風の神様からのおくりもの」は、みほようこ
の初めての童話集・「風の神様からのおくりもの」
に収録されています。


童話「風の神様からのおくりもの」

http://www.geocities.jp/dowakan/kazenokami1.html




風の神様からのおくりもの―諏訪の童話

風の神様からのおくりもの―諏訪の童話