黄金色のまゆ玉

昨日につづき、童話「黄金色のまゆ玉」を、紹介
します。初めてのかたは、20日・21日・22
日の日記を読んでくださいね。


  
   黄金色のまゆ玉 1

http://d.hatena.ne.jp/dowakan/20060220


   黄金色のまゆ玉 2

http://d.hatena.ne.jp/dowakan/20060221


   黄金色のまゆ玉 3

http://d.hatena.ne.jp/dowakan/20060222




   黄金色のまゆ玉 4


二人は、この地方に養蚕をひろめようと、伊勢
の方から寒さに強い桑の木や蚕の卵をとりよせ
ました。そして、技術者をよび、養蚕の技術を
学んでいたのです。
蚕からは、真っ白なまゆ玉がたくさんとれました。



ある日。
明神さまは、たくさんのまゆ玉の中に、黄金色
に光っている美しいまゆ玉をみつけました。
「おや、これは、黄金色のまゆ玉。美しいまゆ
玉じゃのぅ。こんな美しいまゆ玉は、みたこと
がない。でも、なぜこんな所に黄金色のまゆ玉
があるのじゃろ」
明神さまは、ふしぎに思いました。



明神さまがまゆ玉を手にとり、じっとみている
と、どこからかおごそかな声が聞こえてきました。
「明神よ、諏訪の地をおさめてくれて、ありが
とう。今日は、おまえに黄金色のまゆ玉をさずけ
よう。そのまゆ玉を持っていると、どんな願いで
もかなうのじゃ。
病気で死にそうな人も、そのまゆ玉を手にすると、
すぐ元気になれるのじゃ。
どうじゃ、すごいまゆ玉じゃろ。



これから、三十年に一度、一つずつ黄金色のまゆ
玉をさずけよう。次のまゆ玉がさずかるまで、そ
のまゆ玉を大切にするのじゃよ。そして、この地
方に養蚕をひろめてほしい。
蚕は、神様が大切にしている虫なのじゃ。
明神よ、これからもこの地方の人々を、しっかり
守っておくれ。頼むぞ、明神」
そんな声がどこからか聞こえてきました。



明神さまが授かった黄金色のまゆ玉は、三十年に
一つしか手にいれることができない貴重なまゆ玉
でした。たとえ、明神さまがもう一つ黄金色のま
ゆ玉をほしいと思っても、手に入れることはでき
なかったのです。
明神さまは、黄金色のまゆ玉を、とても大切にし
ています。愛する奥さんにも、手をふれさせない
ほど、黄金色のまゆ玉を大切にしていました。