黄金色のまゆ玉

昨日につづき、童話「黄金色のまゆ玉」を、紹介
します。
初めてのかたは、「黄金色のまゆ玉1−4」を
読んでくださいね。


  
   黄金色のまゆ玉 1

http://d.hatena.ne.jp/dowakan/20060220


   その2

http://d.hatena.ne.jp/dowakan/20060221


   その3

http://d.hatena.ne.jp/dowakan/20060222


   その4

http://d.hatena.ne.jp/dowakan/20060223




   黄金色のまゆ玉5

 
明神さまは、黄金色のまゆ玉をみるたびに、
「諏訪地方の人々が、無事でくらせますよう
に。そして、人々が幸せになれますように」
「人々が作るお米やあわ・豆・野菜などがた
くさんとれますように」
「桑がすくすく育ち、よいまゆがたくさんと
れますように」
「妻やこども、一族のものが元気でくらせま
すように」と、祈りました。



それから三十年がすぎました。
「ねえ、あなた。ぼつぼつ二つ目のまゆ玉が
授かるころね。今度黄金色のまゆ玉を授かっ
たら、そのまゆ玉を私にかしてくださいな」
ある日、奥さんがそういいました。
「ああ、良いよ。今度まゆ玉を授かったら、
おまえにそのまゆ玉をかしてあげよう」
明神さまは、奥さんと約束しました。
「あなた、約束を破ってはだめよ」
「わかった。わかった」
明神さまは、いいいました。
「でも・・・あのかたは、もう一つ黄金色の
まゆ玉がほしくなって、私にまゆ玉をかして
くれないのではないかしら」
奥さんは、なぜかそう思いました。女のかん
です。



そんなある日。
ひさしぶりに、遠くの国から友だちが訪ねて
きました。友だちには、こどもが一人います。
そのこどもが、重い病気にかかり、今にもし
にそうでした。
「明神や、おまえに頼みたいことがある。聞
いてくれるか」
「頼みたいことって、なんじゃ」
「明神よ、どうかわしのこどもを助けてほしい。
おまえが持っている黄金色のまゆ玉を手にする
と、どんな病気でもなおるというではないか。
そろそろ次のまゆ玉が授かる頃だね。
次のまゆ玉が授かったら、そのまゆ玉を、しば
らくわしのこどもにかしてほしい。なあ、頼む。
明神」



「そういわれてもな。実は、次のまゆ玉がさず
かったら、妻にかしてあげると約束してしまっ
たのじゃ」
「そのまゆ玉を、ゆずってくれといっているわ
けではない。こどもの病気がなおるまで、かし
てほしいとお願いしているのだ。な、頼む。
このとおりだ」
友だちは、何度も何度も頭をさげ、明神さまに
お願いしました。


       つづく



私は、童話「風の神様からのおくりもの」の中で、
風の神様が大切にしている「黄金色のまゆ玉」の
ことを書きました。



童話「風の神様からのおくりもの」は、みほようこ
の初めての童話集・「風の神様からのおくりもの」
に収録されています。


童話「風の神様からのおくりもの」

http://www.geocities.jp/dowakan/kazenokami1.html




風の神様からのおくりもの―諏訪の童話

風の神様からのおくりもの―諏訪の童話