昨日につづき、童話「黄金色のまゆ玉」を、紹介
します。
初めてのかたは、「黄金色のまゆ玉1−5」を
読んでくださいね。
黄金色のまゆ玉 1
http://d.hatena.ne.jp/dowakan/20060220
その2
http://d.hatena.ne.jp/dowakan/20060221
その3
http://d.hatena.ne.jp/dowakan/20060222
その4
http://d.hatena.ne.jp/dowakan/20060223
その5
http://d.hatena.ne.jp/dowakan/20060224
黄金色のまゆ玉6
明神さまは困ってしまいました。
「じゃあ、こどもの病気がなおったら、すぐま
ゆ玉を返しておくれよ」
「もちろん。こどもが元気になったら、すぐま
ゆ玉を返すよ」
近いうちにまゆ玉をかしてもらえることになっ
た友だちは、うれしそうに帰っていきました。
それから、しばらくして、明神さまは二つ目の
黄金色のまゆ玉を授かりました。
でも、明神さまの心は、複雑でした。
「次のまゆ玉を授かったら、まゆ玉をかしてあ
げる」と奥さんと約束をしていたし、友だちに
もまゆ玉をかしてあげると約束していたからです。
ある日。
明神さまは、おそるおそる奥さんにたのみました。
「なあ、妻よ。約束しておいて悪いけれど、黄金
色のまゆ玉を、わしの友だちにしばらくかしてあ
げてくれないか・・・」と。
すると・・・。
「あなたは、今度まゆ玉がさずかったら、私にそ
のまゆ玉をかしてくれると約束してくれたのに。
なぜ?しばらくって、どの位なの?」
「友だちのこどもが、元気になるまでだよ」
「もし、こどもの病気がよくならなかったら、黄
金色のまゆ玉はどうなるの?」
「もちろん、病気がなおるまで、まゆ玉をかして
あげるさ」
「そんな・・・。じゃあ、私との約束は、どうな
るの。私、長い間、黄金色のまゆ玉を楽しみにし
て待っていたのよ」
心のやさしい奥さんでしたが、さんざん楽しみに
して待っていたまゆ玉です。
奥さんは虫のいどころが悪かったのか、すなおに
なれませんでした。
「私、このやしきをでていくわ」
「これくらいのことで、でていかなくても良いで
はないか」
「まゆ玉のことはともかく、私は寒いのが大嫌い。
今までずっとがまんしていたけれど、ここは日の
沈むのも早いし、とても寒い。こんな寒い所には、
これ以上住めないわ。私は、湖の向こう側の日が
よくあたる場所へいって暮らしたいの」
そういうと、奥さんはさっさとしたくをして、湖
の向こう側へ行ってしまいました。
つづく
この「黄金色のまゆ玉」のことは、童話「風の神
様からのおくりもの」にも書きました。
「風の神様からのおくりもの」は、みほようこの
初めての童話集・「風の神様からのおくりもの」
に収録されています。
- 作者: みほようこ,長野ひろかず
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