黄金色のまゆ玉

昨日につづき、童話「黄金色のまゆ玉」を、紹介
します。

初めてのかたは、「黄金色のまゆ玉1−6」を
読んでくださいね。


  
   黄金色のまゆ玉 1

http://d.hatena.ne.jp/dowakan/20060220


   その2

http://d.hatena.ne.jp/dowakan/20060221


   その3

http://d.hatena.ne.jp/dowakan/20060222


   その4

http://d.hatena.ne.jp/dowakan/20060223


   その5

http://d.hatena.ne.jp/dowakan/20060224


   その6

http://d.hatena.ne.jp/dowakan/20060225



   黄金色のまゆ玉7


そして、明神さまが何度迎えに行っても、奥さ
んは帰ってきませんでした。
「私、この下諏訪の地が気にいったわ。朝も早
くから太陽の顔をみることができるし、上諏訪
のやしきよりずっとあたたかい。
それに、この頃温泉もわきでるようになったし。
だから、私はずっとここでくらすつもりよ」
そういって、奥さんは下諏訪のやしきで暮らす
ことになりました。



もともと、人がうらやむほど仲の良い夫婦。
明神さまは奥さんと離れているのがつらく、夜
になると、毎晩奥さんに会いにいきました。



 ぱりっ。
 バリバリッ。
 みしっ。



「今夜も寒いのぅ」
夜になると、明神さまは奥さんのところへいそ
ぎます。
空には、星が美しく輝いています。
「明神よ、いつまで奥さんとはなれてくらすつ
もりじゃ。一日も早く奥さんと仲なおりしたまえ」
どこからか声が聞こえてきました。
「そうじゃのぅ。一日も早く妻に戻ってきてもら
わなくてはのぅ」
明神さまは、心の中でそっとつぶやくのでした。



あれから、何千年もの月日がながれました。
明神さまは、今も湖の向こう側に住んでいる奥さ
んのところへ通っています。
冬になると、明神さまは湖の氷の上を通り、奥さ
んのところへ行きます。



諏訪の人々は、明神さまのかよう道を、「おみわ
たり」とよぶようになりました。