笛の音よ、永久にひびけ


初めてのかたは、27日・28日の日記を読ん
でくださいね。



   笛の音よ、永久にひびけ 1

http://d.hatena.ne.jp/dowakan/20060227


    笛の音よ、永久にひびけ2

http://d.hatena.ne.jp/dowakan/20060228




   笛の音よ、永久にひびけ3


わたしたちは、これからどこで暮らしたらよい
のかしら」
「さあ・・・どこで暮らしたら良いかのぅ。
わしも、森の仲間たちのことが心配じゃ」
楓が、さみしそうにいいました。



二ヶ月が過ぎました。
楓は、最後のはっぱを、たくさんつけることがで
きました。
「最後のはっぱを、つけることができたぞー」
楓は、大声でさけびました。
そして、大きな体を、ゆっさゆっさとゆらしまし
た。 
「さわ、さわー」
「さわ、さわーー」
たくさんの楓の葉のゆれる音が、丘にひびきわた
りました。


  
「ばさっ」
「ばさりっ」
じゃまになるといわれた森の木が、大きな音をたて、
次々に切りたおされていきました。
「チェーーン」
「チェーーン」
チェンソーの音でしょうか。
高い音が聞こえたかと思うと、あっという間に、森
の木が次々に切りたおされていきます。
楓が驚いてみていると、森の木がみんな横たおしに
なってしまいました。



「いよいよ、わしの番か。さぞ、痛いだろうな」
そう思った時、耳元で「チェーーン」という高い音
がしました。
「ばさりっ」
楓の木のたおれる音が、丘の上にひびきわたりまし
た。楓は余りの痛さに顔をしかめ、そのまま失神し
てしまいました。



気がついた時には、楓は一メートルくらいの長さに
切られていました。そして、他の木と一緒に、高原
のふもとへ運ばれました。
余りにもたくさんの木だったので、森の木はそのま
ま何ヶ月も積まれたままでした。
雨が降ったり、風が吹いたりして、どの木もだんだ
んに枯れていきました。



「私たちは、これからどうなるのだろう。いつまで、
こんな所に横たわっているのだろうか」
「何かに利用してくれると、うれしいのだが・・・」
「人間たちは、森の木を一本残らず切ってしまった。
山くずれなどの災害がおきなければよいがのぅ」
「山が丸裸になれば、ふもとに住んでいる人間たちは、
美味しい水を飲むこともできなくなるだろう。
海や川にすんでいる魚や貝たちもこまるだろうね」
「森の動物たちは、これからどこで暮らすのだろうか。
森の仲間たちのことが心配だね」


        つづく


童話「笛の音よ、永久にひびけ」は、今年
http://www.choeisha.com/から
発行される「風の神様からのおくりもの4」に
収録されます。



発行ずみの「風の神様からのおくりもの」シリーズ



風の神様からのおくりもの―諏訪の童話



竜神になった三郎 風の神様からのおくりもの (2)



ふしぎな鈴 風の神様からのおくりもの (3)