ライオンめざめる

昨日につづき、童話「ライオンめざめる」を
紹介します。
初めてのかたは、「ライオンめざめる1・2・
3」を読んでくださいね。



        ライオンめざめる1


http://d.hatena.ne.jp/dowakan/20060305



        ライオンめざめる2


http://d.hatena.ne.jp/dowakan/20060306



         ライオンめざめる3


http://d.hatena.ne.jp/dowakan/20060307






         ライオンめざめる4


ライオンが、またないています。
かなは、いつものように、ロケットをやさ
しくなでてあげました。



「うー、わん、わん」
とつぜん、りゅうが大声でほえました。
びっくりしてふりむくと、杖をついた白い
ひげのおじいさんが、後にたっていました。
「どうしたのじゃ」
おじいさんが、にこにこしながら近づいて
きました。
「おじいさん、このライオンね、時々うーん
うーんってうなるの。なぜうなるのかしら」
かなは、おじいさんに聞きました。



「そうか、ちょっとわしにみせてごらん」
 おじいさんはロケットを手にのせ、じっと
みています。
おじいさんがロケットをやさくしなでた時、
ふしぎなことがおこりました。
おじいさんの手の中で、ライオンがだんだん
に大きくなってきたのです。二センチくらい
だったライオンが、十センチくらいになり、
二十センチくらいの大きさになりました。



おじいさんは、ライオンをそっと地面におろ
しました。
すると、ライオンは足をふんばり、しっかり
立ち上がりました。
そして、あっという間に、五十センチくらい
の大きさのライオンになりました。
りゅうはわんわんなきながら、ライオンのま
わりを走りまわっています。
しばらくすると、ライオンはふつうの大きさ
になりました。



「うおー」
ライオンが、うれしそうな声をあげました。
「かなさん、ありがとう。やさしいかなさんの
おかげで、私は長いねむりからさめることがで
きました」
ライオンは、うれしそうにいいました。
かなはびっくりして、大きくなったライオンを
みています。
「少女よ、わしは諏訪の神・明神じゃ。
おまえは本当に心の優しい少女じゃのぅ。
わしは諏訪の地をあちこちみて歩いているので、
おまえのことも、りゅうのことも、よーく知っ
ているぞ。
おまえは何千年もの間誰も聞くことができなか
ったライオンの声を、よく聞くことができたねぇ」
神さまは、感心したようにいいました。


        つづく



童話「ライオンめざめる」は、今年
http://www.choeisha.com/から
発行されるみほようこの童話集・「風の神様から
のおくりもりの4」に収録されます。



今、長野ひろかず先生が、挿絵を描いてくださっ
ています。すてきな本ができるとよいなと思いま
す。