昨日につづき、童話「ライオンめざめる」を
紹介します。
初めてのかたは、「ライオンめざめる1−4」
を読んでくださいね。
ライオンめざめる1
http://d.hatena.ne.jp/dowakan/20060305
ライオンめざめる2
http://d.hatena.ne.jp/dowakan/20060306
ライオンめざめる3
http://d.hatena.ne.jp/dowakan/20060307
ライオンめざめる4
http://d.hatena.ne.jp/dowakan/20060308
ライオンめざめる5
「かな、さっき松虫草のまわりを舞っていたち
ょうは、何というちょうか知っているか」
「知りません。神さま、何というちょうですか?」
「くじゃくちょうというのじゃ。この高原にきても、
めったにくじゃくちょうには会えんぞ。
心のやさしい少女がこの高原にくると、くじゃくち
ょうはどこからかでてくるのじゃ。
でも、本当にやさしい人しか、くじゃくちょうの姿
はみえないのじゃ。
わしもそこでくじゃくちょうの舞をみていたが、美
しい舞じゃったのぅ」
神さまは、くじゃくちょうのことを、いろいろ教え
てくれました。くじゃくちょうは、ちょうのままで、
寒い冬をこすのだそうです。
「神さま、ライオンはなぜ小さくされてしまったの
ですか」
かなは、神様にたずねました。
「このライオンはのぅ、四千年位前、西の国の王妃
がかわいがっていたライオンじゃ。
ある日、ライオンは魔法をかけられ、小さくされて
しまったのじゃ」
「じゃあ、ライオンはなぜいたいよぉってないてい
たのですか」
「それはのぅ、まほうをかけられた時、まほうつか
いの杖で、何度も強くなぐられたのじゃ。
だから、体中が痛いのじゃろ」
すると、ライオンが話し始めました。
「王妃はかなしがって、小さくなった私を、金のロ
ケットにしたのです。そして、王妃はなくなるまで
私を大切にしてくれました」
ライオンは、やさしかった王妃をなつかしむように
いいました。
「そのロケットが、おおぜいの手をへて、こうして
心のやさしいかなの手にわたったのじゃ。
今までは、誰もライオンのうなり声を聞くことがで
きなかった。でも、かなのおかげで、ライオンはや
っと長いねむりからさめることができたのじゃ。
ライオンよ、ほんとうに良かったのぅ」
かなは、神様の話をふしぎな思いで聞いていました
つづく
童話「ライオンめざめる」は、今年
http://www.choeisha.com/から
発行されるみほようこの童話集・「風の神様から
のおくりもりの4」に収録されます。
今、長野ひろかず先生が、挿絵を描いてくださっ
ています。すてきな本ができるとよいなと思いま
す。
今までに発行された「風の神様からのおくりもの」
シリーズ
・ みほようこ 文
・ 長野ひろかず 絵
本は、インターネット書店・鳥影社のホーム
ページから、注文できます。
鳥影社のホームページ