竜の姿をみた少女


昨日につづき、童話「竜の姿をみた少女」を
紹介します。


初めてのかたは、昨日の日記を読んでくださいね。


http://d.hatena.ne.jp/dowakan/20060311





   竜の姿をみた少女 2


湖につき落とされた三郎は、神様に助けられ、
地の国の王子になりました。
しかし、三郎はこいしい妻のことが忘れられず、
やっとの思いで村にもどってきました。
村にもどってきた三郎は、なぜか竜になってい
たのです。
こんなお話でした。


 
「竜になった三郎」の話を聞いたかなは、思
いました。
「なぜ、三郎は竜になってしまったのかな」と。
「とうちゃん。三郎は、なぜ竜になってしまっ
たの?」
「なぜだろうね。三郎は、地の国で長い間暮ら
していたからだとか、神様からもらった鹿のき
もでつくったもちを、千枚も食べたからだとか、
いろいろいわれているけれど、本当の理由はわ
からないね」



「とうちゃん。竜って、どんな姿をしているの?」
「どんな姿をしているのだろうね。とうちゃんも、
絵でしか竜の姿をみたことがないからわからないよ。
今夜、かなにそのりゅうの絵をみせてあげよう」
二人は、湖のほとりで、時々竜の話をしました。
「竜になった三郎」の話を聞いたかなは、「しらか
ば湖に、竜が住んでいるといいな」と、思うように
なりました。



しかし・・・。
「竜?そんなものいるはずないよ」
「うわさだよ、うわさ」
「この村に伝わっている話だろ?」
「この世に、竜なんているはずないじゃん」
「かなちゃん、そんなこと信じているの?
馬鹿みたい」
こどもたちは、みんなそういいます。
こどもたちだけでなく、大人も・・・。
「となりのかなちゃんは、しらかば湖に竜がすんで
いると信じているようだわ」
「この世に、竜なんているはずないのにね。


      つづく


「竜の姿をみた少女」は、みほようこの二冊目の
童話集・「竜神になった三郎」の続編として書い
たものです。



竜神になった三郎 風の神様からのおくりもの (2)

竜神になった三郎 風の神様からのおくりもの (2)