女神さまとの約束


昨日につづき、「女神さまとの約束」を紹介
します。



    ・ 女神さまとの約束1


http://d.hatena.ne.jp/dowakan/20060405



    ・ その2

http://d.hatena.ne.jp/dowakan/20060406



    ・ その3

http://d.hatena.ne.jp/dowakan/20060407



     ・ その4

http://d.hatena.ne.jp/dowakan/20060408



    ・ その5

http://d.hatena.ne.jp/dowakan/20060409




      女神さまとの約束6



ある日、ふくは白駒に聞きました。
「白駒。病気でぐったりしている人を、ど
うやってここへつれてくるの?」
「女神さまのいいつけで、その人の家へ行
くと、女神さまが私のせなかに病人をのせ
てくれるのです」
「でも、どうやって、ここへつれてくる病
人を選ぶの?」
「女神さまは、神さまを信じている、心の
やさしい人を選びここへつれてくるようで
すよ」




 一本しかなかった黄金色の花も、今では
十数本にふえました。
「ふくちゃんのおかげで、おらはこんなに
元気になれた。ありがたいことじゃ。ふく
ちゃん、ありがとう」
元気になった人々は、ふくに感謝しました。
何百人もの人が、黄金色の花で元気になり
ました。
ふくも、病気で苦しんでいる人をたすける
ことに、いきがいを感じています。




食べ物は、白駒が運んでくれます。食べ物
といっても、小さな赤い木の実だけ。
その木の実を口にすると、なぜかすぐにお
なかがいっぱいになりました。
「白駒。これ、何の木の実?」
「女神さまも、毎日この木の実を食べてい
ますよ。でも、名前はしりません」
白駒がいいました。



 
それから、十年がすぎました。
硫黄岳での生活は、夏は涼しく快適でした。
でも、冬は寒さがきびしく、雪が何メート
ルも積もります。そして、その雪は五月頃
までとけません。
半年間は、毎日白い雪をみてくらさなくて
はなりません。
ふくは、険しい岩場の生活に、だんだんあ
きてきました。




「とうちゃんは、元気でいるかしら」
「たきたてのあたたかなごはんが食べたいな」
「大好きなりんごも食べたい」
「おいしい魚も食べたい」
そう思うと、ふくは急に家に帰りたくなり
ました。



         つづく