黄金色のまゆ玉4


昨日につづき、童話「黄金色のまゆ玉」を
紹介します。


明神さまと奥さんは、人がうらやむほど仲
の良い夫婦。でも、ある日、ささいなこと
でけんかをしてしまいました。
二人のけんかの原因は、何だったのでしょ
うか。


  
    黄金色のまゆ玉4


ある日。
明神さまは、たくさんのまゆ玉の中に、黄金
色に光っている美しいまゆ玉をみつけました。
「おや、これは、黄金色のまゆ玉。美しいま
ゆ玉じゃのぅ。こんな美しいまゆ玉は、みた
ことがない。でも、なぜこんな所に黄金色の
まゆ玉があるのじゃろ」
明神さまは、ふしぎに思いました。



明神さまがまゆ玉を手にとりみていると、ど
こからかおごそかな声が聞こえてきました。
「明神よ、諏訪の地をおさめてくれて、あり
がとう。今日は、おまえに黄金色のまゆ玉を
授けよう。そのまゆ玉を持っていると、どん
な願いでもかなうのじゃ。病気で死にそうな
人も、そのまゆ玉を手にすると、すぐ元気に
なれるのじゃ。どうじゃ、すごいまゆ玉じゃろ。



これから、三十年に一度、一つずつ黄金色の
まゆ玉を授けよう。次のまゆ玉がさずかるま
で、そのまゆ玉を大切にするのじゃよ。
そして、この地方に養蚕をひろめてほしい。
蚕は、神様たちが大切にしている天の虫なの
じゃ。明神よ、これからもこの地方の人々を、
しっかり守っておくれ。頼むぞ、明神」
そんな声がどこからか聞こえてきました。



明神さまが授かった黄金色のまゆ玉は、三十
年に一つしか手にいれることができない貴重
なまゆ玉でした。たとえ、明神さまがもう一
つ黄金色のまゆ玉をほしいと思っても、手に
入れることはできなかったのです。



明神さまは、黄金色のまゆ玉を、とても大切
にしています。愛する奥さんにも、手をふれ
させないほど、黄金色のまゆ玉を大切にして
いました。
明神さまは、黄金色のまゆ玉を手にするたび
に、「諏訪地方の人々が、無事でくらせます
ように。そして、人々が幸せになれますよう
に」
「お米やあわ・豆・野菜などがたくさんとれ
ますように」
「桑がすくすく育ち、よいまゆがたくさんと
れますように」と、祈りました。



それから三十年がすぎました。
「ねえ、あなた。ぼつぼつ二つ目のまゆ玉が
授かるころね。今度黄金色のまゆ玉を授かっ
たら、そのまゆ玉を私にかしてくださいな」
ある日、奥さんがそういいました。
「ああ、良いよ。今度まゆ玉を授かったら、
おまえにそのまゆ玉をかしてあげよう」


        つづく