ライオンめざめる3


昨日につづき、童話「ライオンめざめる」
を、紹介します。


   
     ライオンめざめる3



私も最初はそう思ったわ。金でできている
ライオンが、うなるはずはないって。でも、
何度もうなり声を聞いているうちに、この
ロケットの中に、だれかがとじこめられて
いるのではないかと思うようになったの」
「そんなばかな・・・。とうちゃんは、か
なのいうことを信じたい。でも、この話だ
けは、信じることができないね」
おとうさんは、困ったような顔をしました。



さわやかな秋になりました。
かなとりゅうは、高原の小高い丘へ登りま
した。
りゅうは散歩が大好き。
かなの顔をみると、「散歩に行こう。ねえ、
かなさん。散歩に行こうよぉ」と、大声で
さいそくします。
かなはライオンのロケットを首にかけ、散
歩に行きました。 



丘へつくと、夏の間美しく咲いていた日光
きすげややなぎらんは、すっかり枯れてい
ました。そして、草原は一面すすきでおお
われていました。
松虫草の花は、まだ咲いているかしら」
かなは、松虫草の花を探して歩きました。
あちこち探しましたが、松虫草の花はなか
なかみつかりません。
松虫草の花は、もう枯れてしまったのか
しら」
かなは、あきらめて家に帰ろうと思いました。



ふと足元をみると、枯草の中に、松虫草
花が十本くらい咲いていました。
松虫草の花は、秋の日をあび、きらっきらっ
と美しく輝いています。
「なんてきれいだろう」
かなは、松虫草の花に見とれていました。



すると・・・。
花のみつをすいにきたのでしょうか。
どこからか、赤いちょうが一匹舞ってきま
した。みたことのないちょうです。



童話「ライオンめざめる」は、みほようこ
の童話集・「風の神様からのおくりもの4」
として、今年http://www.choeisha.com/
から、発行されます。


  
      収録される童話


   ・  ライオンめざめる


   ・  笛の音よ、永久にひびけ


   ・  かきつばたになった少女



     
   今までに発行されたみほようこ童話集

   風の神様からのおくりものシリーズ 1−3




       風の神様からのおくりもの―諏訪の童話




       竜神になった三郎 風の神様からのおくりもの (2)




       ふしぎな鈴 風の神様からのおくりもの (3)