ライオンめざめる4


昨日につづき、童話「ライオンめざめる」
を紹介します。



    ライオンめざめる4


松虫草の花の上で、ちょうが大きく羽をひ
ろげた時、かなは「あっ」と驚きの声をあ
げました。
そのちょうは、くじゃくの羽のような、鮮
やかな色をした赤いちょうでした。



ちょうの羽には、大きな目玉のようにみえ
るもようがついています。ちょうをじっと
みていると、かなは誰かにみつめられてい
るような気がしました。



しばらくすると、あっちの方から一匹、こ
っちの方から一匹と、たくさんのちょうが、
松虫草のまわりに集まってきました。
ちょうの数は何百匹、いや何千匹でしょうか。
集まってきたちょうたちは、かなとりゅう
のまわりを、楽しそうにひらひらと舞い始め
ました。



誰がふいているのでしょうか。
どこからか清らかな笛の音も聞こえてきます。
ちょうたちは、その笛の音にあわせ、楽しそ
うに舞っています。



「うーん・・・うーん・・・」
ライオンのうなり声で、かなははっとわれに
かえりました。
あんなにたくさんいた赤いちょうは、どこを
さがしても一匹もいませんでした。
「赤いちょうは、どこへ消えてしまったのかしら」
かなは、ふしぎに思いました。
 

     つづく



童話「ライオンめざめる」は、みほようこ
の童話集・「風の神様からのおくりもの4」
として、今年http://www.choeisha.com/
から、発行されます。


  
      収録される童話


   ・  ライオンめざめる


   ・  笛の音よ、永久にひびけ


   ・  かきつばたになった少女



     
   今までに発行されたみほようこ童話集

   風の神様からのおくりものシリーズ 1−3




       風の神様からのおくりもの―諏訪の童話




       竜神になった三郎 風の神様からのおくりもの (2)




       ふしぎな鈴 風の神様からのおくりもの (3)