ふしぎな鈴「じいちゃんとばあちゃん」の章


ふしぎな鈴「じいちゃんとばあちゃん」1


かなはよちよち歩きの頃から、遠くに住んでいる
おじいさんの家へ、遊びに行きました。
「かなや、かなや」
おじいさんとおばあさんは、初まごのかなをかわ
いがってくれます。
「じいちゃん、まってー」
「ばあちゃーん、かなもつれてって」      
かなは二人のあとをおい、たんぼや畑へついて行
きます。



二人が働いている間、かなはれんげ畑でひとりで
遊びます。れんげの花をつんだり、れんげの花の
上でねころがって、空の雲をながめたりしました。
かなは丘の上にたっているおじいさんの家が大好
きでした。
おじいさんの家では、かいこをたくさんかってい
ます。蚕室へいくと、かいこのにおいがぷーんと
します。かなは蚕が桑の葉を食べる音を聞いて育
ちました。



夏のある朝。
かなとおじいさんは、暗いうちにおきて、うらの
りんご畑へ、蝉の羽化をみに行きました。
りんごの木には、土の中からはいだしたばかりの
蝉の幼虫が、たくさんとまっています。
「わぁー。たくさんいる。じいちゃん、これが蝉
の幼虫なの?」
「そうだよ。よくみていてごらん。もうすぐ蝉が
生まれるから」
「じいちゃん、この蝉何ていうの?」
「あぶらぜみだよ」


                 つづく




ふしぎな鈴 風の神様からのおくりもの (3)

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