ふしぎな鈴「じいちゃんとばあちゃん」1
かなはよちよち歩きの頃から、遠くに住んでいる
おじいさんの家へ、遊びに行きました。
「かなや、かなや」
おじいさんとおばあさんは、初まごのかなをかわ
いがってくれます。
「じいちゃん、まってー」
「ばあちゃーん、かなもつれてって」
かなは二人のあとをおい、たんぼや畑へついて行
きます。
二人が働いている間、かなはれんげ畑でひとりで
遊びます。れんげの花をつんだり、れんげの花の
上でねころがって、空の雲をながめたりしました。
かなは丘の上にたっているおじいさんの家が大好
きでした。
おじいさんの家では、かいこをたくさんかってい
ます。蚕室へいくと、かいこのにおいがぷーんと
します。かなは蚕が桑の葉を食べる音を聞いて育
ちました。
夏のある朝。
かなとおじいさんは、暗いうちにおきて、うらの
りんご畑へ、蝉の羽化をみに行きました。
りんごの木には、土の中からはいだしたばかりの
蝉の幼虫が、たくさんとまっています。
「わぁー。たくさんいる。じいちゃん、これが蝉
の幼虫なの?」
「そうだよ。よくみていてごらん。もうすぐ蝉が
生まれるから」
「じいちゃん、この蝉何ていうの?」
「あぶらぜみだよ」
つづく
- 作者: みほようこ,長野ひろかず
- 出版社/メーカー: 鳥影社
- 発売日: 2005/09
- メディア: 単行本
- クリック: 13回
- この商品を含むブログ (436件) を見る