そして、あちらにひとつ、こちらにひとつと、花
が咲き出しました。赤い花も白い花もあります。
紫の花も、ピンクの花も咲き出しました。何千何
万という花が、色とりどりにぱっと音がして開い
ていきます。色あざやかな竜が、空に向かってか
けのぼっていくような、そんな感じでした。
かなはぽかーんとして、たくさんの朝顔の花を見
ていました。
「かなさん、私の体にしっかりつかまりなさい。
これから良い所へ案内しますから」
どこからか、また声が聞こえてきました。
かなはおそるおそる朝顔のつるにつかまりました。
すると、どうでしょう。
朝顔のつるが、するすると動き出したのです。ま
るでエスカレーターに乗っているような感じでし
た。かなの家が、かなの住んでいる村が、どんど
ん小さくなって、とうとう見えなくなってしまい
ました。
朝顔のエスカレーターは、途中止まることなく、
空にむかってどんどんのぼっていきます。
「かなさん、つきましたよ」
その声で、かなははっとわれにかえりました。
ついた所は、広い野原の真ん中でした。
つづく
- 作者: みほようこ,長野ひろかず
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