童話「女神さまとの約束」


    童話「女神さまとの約束」10


その後。
白駒は、あちこちの村から、病気で苦しんでい
る人をつれてきました。一人が元気になると、
またどこからか次の病人をつれてきます。
足腰もたたない、今にも死にそうな人を、白駒
がどうやってつれてくるのか、福はふしぎに思
いました。



福は、白駒がつれてきた人の体を、湯でひたし
た黄金色の花びらで、やさしくさすってあげま
す。すると、死にそうだった人が、何日かする
とすっかり元気になりました。
早い人は五日くらいで、遅い人でも一ヶ月くら
いたつと、元気になって家にもどっていきました。



ある日、福は、白駒に聞きました。
「白駒。今にも死にそうな人を、どうやってこ
こへつれてくるの?」
「女神さまのいいつけで、その人の家へ行くと、
女神さまが私の背中に病人をのせてくれるのです
よ」
「じゃあ、ここへつれてくる人を、どうやって選
ぶの?」
「女神さまは、神さまを信じている、心のやさし
い人を選ぶようですよ」
白駒は、そういいました。



一本だけだった黄金色の花も、今では十数本にふ
えました。岩場からは、新しい湯がどんどんわい
てきます。
「福ちゃんのおかげで、おらはこんなに元気にな
れた。ありがたいことじゃ。福ちゃん、どうもあ
りがとう」
元気になった人々は、心から福に感謝しました。



何千人もの人が、黄金色の花びらで元気になりま
した。福も、病気で苦しんでいる人を助けること
に、いきがいを感じています。
福は一生けんめい病人の世話をしました。


      つづく