童話「竜の姿をみた少女」


    童話「竜の姿をみた少女」10


はるかむこうに、諏訪湖がみえてきました。
「かな、もうすぐ諏訪湖へつくぞー」
おじいさんがいいました。
諏訪湖は、太陽にあたり、きらっきらっと
輝いています。
「なんて美しい湖だろう」
かなは、そっとつぶやきました。



「かなー。私はあなたに会えるのを、ずっと
待っていたのよぉ。早く、お会いしたいわー」
諏訪湖の方から、三郎の妻のやさしい声が聞
こえてきました。
かなの目には、諏訪湖のほとりで手をふって
いる、着物姿の美しい人がみえました。




「なんて美しい人だろう。あのかたがおじい
さんの奥さまなのね」
「そうじゃ。あれがわしのじまんの妻じゃ。
どうじゃ、美しい人じゃろ。妻は姿が美しい
だけでなく、心の清い人なのじゃ」
おじいさんはいいました。




目の前には、太陽の光をあび、きらっきらっ
と輝いている諏訪湖がみえます。
かなとおじいさんは、奥さんの待っている諏
訪湖をめがけて、ゆっくりゆっくりおりて行
きました。


       おわり