笛の音よ、永久にひびけ


    笛の音よ、永久にひびけ3


風にのって、人間たちの声が聞こえてきました。
その声は、なげやりならんぼうな声でした。
「仲間の木が、切られてしまうのだな」
楓は、さみしく思いました。
「まさか、丘の上のわしの所まではこまい」
楓は、安心していました。



ところが・・・。
人間たちが、丘の上までやってきたのです。
「大きな楓だねぇ」
「こんな楓は、みたことがない」
「しかし、楓だけ残しておくわけにもいくまい」
「どうしたら良いだろう」
「切るよりしかたがないだろう」            
こんな声が聞こえてきました。



楓も、仲間の木といっしょに、切られてしまうこ
とになったのです。
この丘での楽しかった思い出が、まるで昨日のこ
とのように、楓にはなつかしく思い出されました。
「とうとう、わしも切られてしまうのか」
楓は、さみしく思いました。
「人間たちは、なぜ森の木を切るのだろう。森で
は、木や草や動物たちが、仲良く助け合って暮ら
しているのに」
楓は、大きなため息をつきました。



「この丘に住んでいる仲間たちは、これからどう
なるのだろう」
楓は、仲間たちのことが心配でたまりません。


                      つづく



童話「笛の音よ、永久にひびけ」は、みほようこ
の四冊目の本・「ライオンめざめる」に収録され
ています。



「ライオンめざめる」は、十月七日、「鳥影社」
から発行されました。


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