かきつばたになった少女


     かきつばたになった少女5


かきつばたは、いそいで家に帰ろうと思いました。
しかし、濃い霧のため、一寸先もみえません。
とほうにくれたかきつばたは、沼のほとりで、霧
が晴れるのをじっと待ちました。



「おとうさま、ごめんなさい。私はおとうさまと
の約束をやぶり、一人で霧が峰へきました。病気
のおばさまに、きすげの花をプレゼントしようと
思ったのです。おとうさま、どうか霧が早く晴れ
るように、私をしっかり守ってくださいね」
かきつばたは、心の中でおとうさんにお願いしま
した。



どのくらいの時間が過ぎたのでしょうか。
かきつばたには、長い時間が過ぎたように感じま
した。
霧がさっと晴れ、目の前には、真っ青な空があら
われました。そして、広い草原のむこうから、こ
ちらにむかって、少年が走ってくるのがみえまし
た。少年の姿は、草原を走っている小鹿のように
見えました。
少年の姿をみた時、かきつばたはほっとしました。


                      つづく



「かきつばたになった少女」は、みほようこ
の四冊目の本・「ライオンめざめる」に収録さ
れています。
「ライオンめざめる」は、風の神様からのおく
りものシリーズ4。







「ライオンめざめる」は、十月七日、、「鳥影社」
から発行されました。



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ライオンめざめる―風の神様からのおくりもの〈4〉 (風の神様からのおくりもの (4))

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