かきつばたになった少女


      かきつばたになった少女12


「山彦さん、おせじをいわないで」
「本当だよ。きみの顔は、なんともいえない優しい
顔だ。きみの心の優しさが、そのまま顔にでている」
「でも・・・今水面に顔をうつしてみたら、私はと
てもみにくい顔をしていたわ」
「それは、強い風が吹いてきて、水面が波立ったか
らだよ」
山彦がいいました。
でも、かきつばたは、山彦のことばを信じることが
できませんでした。



山彦がはっと気がついた時、かきつばたの姿は消え
ていました。
「かきつばたさんはどこへ行ってしまったのだろう?」
びっくりした山彦は、「かきつばたさーん、かきつ
ばたさーん」とさけびながら、広い高原をさがしま
わりました。
しかし、かきつばたはどこにもいませんでした。



一方、女神さまたちが住んでいる村では、夜になっ
てもかきつばたが帰ってこないので、大騒ぎになり
ました。かきつばたのおとうさんもおかあさんも、
かきつばたのことを心配して、あちらこちらさがし
まわりました。


      つづく


「かきつばたになった少女」は、みほようこの四
冊目の童話集・「ライオンめざめる」に収録され
ています。


「ライオンめざめる」は、風の神様からのおくり
ものシリーズ4。
今年十月七日、「鳥影社」から発行されました。



http://www.choeisha.com/




ライオンめざめる―風の神様からのおくりもの〈4〉 (風の神様からのおくりもの (4))

ライオンめざめる―風の神様からのおくりもの〈4〉 (風の神様からのおくりもの (4))




ライオンを 伝えたいこと 思い出し




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