「風の神様からのおくりもの」
それは、黄金色のまゆ玉だった。
「風の神様からのおくりもの」より、一部分を紹
介します。
風の神さまは、守屋山でかいこをかっていました。
かいこからは、毎年沢山のまゆ玉がとれました。
真っ白いまゆ玉です。
風の神さまが住んでおられる守屋山には、こんな
いいつたえがありました。
守屋山では、四百年に一度、それもたったひとつ
だけ、黄金色に輝く小さなまゆ玉がとれるといわ
れています。
この地方に住んでいる人々のやさしい気持が、黄
金色のまゆ玉になるのだそうです。
風の神さまは、四百年にひとつだけとれる黄金色
のまゆ玉を、とても大切にしておりました。
そのまゆ玉は、たとえ風の神さまがもうひとつほ
しいと思っても、
なかなか手にはいらない貴重なまゆ玉だったのです。
とくにこのごろは、人々にやさしさがなくなり、
「自分さえよければ、他人はどうなってもよい」と
いう人がほとんどです。
だから、二千年くらいたたないと、黄金色のまゆ玉
は手にはいらなかったのです。
黄金色のまゆ玉は、この地方に住んでいる人々のや
さしさをしめす、鏡のようなものでした。
- 作者: みほようこ,長野ひろかず
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