笛の音よ、永久にひびけ


笛の音よ、永久にひびけ


一部分を紹介します。


二ヶ月が過ぎました。
楓は、最後のはっぱを、たくさんつけることができ
ました。
「最後のはっぱを、つけることができたぞー」
楓は、大声でさけびました。



そして、大きな体を、ゆっさゆっさとゆらしました。 
「さわ、さわー」
「さわ、さわーー」
たくさんの楓の葉のゆれる音が、丘にひびきわたり
ました。



「ばさっ」
「ばさりっ」
じゃまになるといわれた森の木が、大きな音をたて、
次々に切りたおされていきました。
「チェーーン」
「チェーーン」
チェーンソーの音でしょうか。
高い音が聞こえたかと思うと、あっという間に、森
の木が次々に切りたおされていきます。



楓が驚いてみていると、森の木がみんな横たおしに
なってしまいました。
「いよいよ、わしの番か。さぞ、痛いだろうな」
 そう思った時、耳元で「チェーーン」という高い
音がしました。
「ばさりっ」
楓の木のたおれる音が、丘の上にひびきわたりました。
楓は余りの痛さに顔をしかめ、そのまま失神してし
まいました。



童話「笛の音よ、永久にひびけ」は、みほようこ
四冊目の童話集・「ライオンめざめる」に収録され
ています。



童話集「ライオンめざめる」は、今年十月、「鳥影
社」から発行されました。



おとうさんからもらった誕生日のプレゼント、ライ
オンのロケット。
そのロケットには、何千年も前の謎が秘められていた…。
表題作ほか、霧ケ峰高原を訪れたときに、風の神様
から聞いた3つのお話を収録。


   ・ ライオンめざめる

   ・ 笛の音よ、永久にひびけ

   ・ かきつばたになった少女



http://www.bk1.co.jp/product/2719469



ライオンめざめる―風の神様からのおくりもの〈4〉 (風の神様からのおくりもの (4))

ライオンめざめる―風の神様からのおくりもの〈4〉 (風の神様からのおくりもの (4))